★アルハンブラ物語

 シントン・アーヴィングというアメリカ人が19世紀にスペインのグラナダを訪れ、当時まだ世界に知る人も少なかったアルハンブラ宮殿に滞在した経験と、そこにまつわる歴史・伝説を綴った紀行文学の名作「アルハンブラ物語」。誰もが知る有名な本というわけではございませんが、この本がアルハンブラ宮殿を世界に知らしめた功績たるや大変なものがございます。スペイン旅行でこの宮殿の余りの美しさに陶然と酔いしれた経験を持つ我々、ようやく最近岩波文庫「アルハンブラ物語」上下巻を入手し(以前は絶版)、夢のごとく美しい記憶をたどりながら読み耽ったのでございます。

対談場所:いわんや家寝室・布団の中

いわんや「『アルハンブラ物語』どのへんまで読んだ?」

トホ妻 「アタシまだ上巻。あの月夜にアルハンブラの中を散歩するところがいいよねぇ〜」

いわんや「おおお〜あそこな(悶える)。いやぁ〜オレも死ぬまでに一度くらい、満月の夜に一人でアルハンブラ宮殿を散歩したいぜ…美しすぎて失禁するだろうなぁ…」

トホ妻 「行ったことあるヒトがあれ読むともうたまんないよね〜」

いわんや「ライオンの中庭とかさぁ…月の夜にだぜ…うう…(悶える)」

トホ妻 「…ああ…(悶える)」

いわんや「がーッ!…アーヴィングなんてよゥ、あそこに住まわせてもらった上によゥ、入場料も払わず毎日散歩してたんだぜ…ああ…ちくしょう…ズルイよなぁ…」

トホ妻 「ああ…アタシも住まわせてよ、ねぇ…ねぇってばぁ(いわんやの身体を揺する)」

いわんや「あ〜…(揺れながら)あ〜…また行きたい…」

トホ妻 「この本読むとさ、ここに書かれてるアルハンブラ宮殿のいろんな場所をもう一度行ってよく確かめたくなっちゃうよね」

いわんや「そういえば、むかし何とかって王様が頭のオカシい奴に殺されたモスクのことが上巻に書いてあるだろ?そのモスクって、どの辺にあったんだ?」

トホ妻 「さぁ〜どこにあったんだろ、アタシもよくわかんない」

いわんや「下巻にもさぁ、“ナントカの像にまつわる伝説”とか、いろんな話書いてあるんだけど、そもそも“ナントカの像”ってのがどの辺にあったのか、よくわかんないんだよな」

トホ妻 「観光客は入れないようになってる場所なのかもよ。ズルいよね、アーヴィングだけそんないい思いしてさぁ。今度行ったらこの本に書かれてる場所、もっとよく見て来よう」

いわんや「う〜ん…でもこの本に書かれてる主な場所だけでも相当あるだろ?いちいち捜してたら何日あっても足りないわな。観光客の巡回ルートとは離れたものもあるだろうし…」

トホ妻 「普通のガイドブックに載ってる大まかな案内図じゃなくてさぁ、もっと詳細に細かく書かれたアルハンブラ宮殿の地図とか欲しいよね」

いわんや「そうだよなぁ。そういう副読本みたいなの、必要だよなぁ」

トホ妻 「アルハンブラ宮殿詳細マップみたいな…」

いわんや「『みるみるわかる!アルハンブラ宮殿』とかさ(笑)」

トホ妻 「ひゃっはっはっ!…『チャート式・アルハンブラ宮殿』とかね(笑)」

いわんや「『目指せ!アルハンブラ宮殿800点』…(爆)」

トホ妻 「ぎゃははははは…!!」

 にかくもう、この本を読むと「まだ行ったことのない人は死ぬまでにぜひ一度、すでに行ったことのある人は死ぬまでにもう1回」アルハンブラ宮殿に行きたいと思わずにはおれませぬ(→写真参照)。世界に二つとないであろう、この美しい歴史建造物は観光立国スペインの中でも今や最大の観光スポットとなっておりますが、その近くに建つ瀟洒なホテルはアルハンブラ宮殿を世界に知らしめたアーヴィングの功績をたたえるべく、スペイン語読みで「ホテル ワシントン・イルビング」と名付けられているのでございます。ああ…宝クジ当たったらすぐ移住してやる…。

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