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No12.txt

さて、前回はインターネット自体が持つ盗聴の危険性について解説しましたが、
今回は現在のインターネットで重要な役割を果たしているEthernet(イーサネッ
ト)について解説します。

インターネットのネットワーク媒体と言えばEthernetというくらい、インター
ネットについて考える時にEthernetは切り離すことができないものであること
はご存知の通りだと思います。

実際、IP(インターネット・プロトコル)の際立った特徴である「到達性を保証
しない」「到達順を保証しない」「到達時間を保証しない」ということに関し
ては、単にEthernetがそうだから仕方なくIPもそうした、という気が多分にし
ます。

Ethernetの物理的な構造は、聞くとアゴをテーブルの下に落としてしまう位簡
単なものです。最近は10BASE/Tなどシステマチックなものが主流ですが、昔は、
俗にイエローケーブルと呼ばれる図太い(直径2cm位? )同軸ケーブルを1本部屋
の真中にどんと引いて、そのケーブルにトランシーバと呼ばれる機器を取りつ
けて行く方式が主流でした。

このトランシーバの取付けがまたいい加減で、ケーブルの適当な位置(ただし
機器間の距離は決まっているので、普通はケーブルに印がついている)を削っ
て中の芯を露出させ、そこにトランシーバーを食いこませるという小学生の工
作のような方式です。同軸ケーブルにこんなものを幾つも食いこませて、果た
してマトモな通信ができるのでしょうか?

何台ものホストを、たった1対の導線で繋ぐのですから、普通の方法ではうまく
いくわけがありません。普通なら2対のホストが同時に通信をしようとした時点
で、データ同士が干渉してアウトです。

Ethernetは、これを解決するために、次の方法を取りました。

・情報は一度に送らずに細切れに送る
・通信を開始する前に、情報がケーブルに流れていないか確認する
・もし通信を開始した後、混線したら一旦情報を流すのをやめる
・混線などで最後まで送れなかった情報の部分はあとで送りなおす
・データを受け取った側は、送られてきた細切れの情報を順番に並べなおして
 使用する

これだけです。3番目は、2つ以上のホストが同時に情報を流してしまった時の
回避策になっています。要は大人数で人間が会話するときと同じ方法を採って
いるわけですね。

この辺りで、EthernetやIPの特徴である「到達性・到達順・到達時間を保証し
ない」のがなぜか、分かってきたのではないかと思います。実際、Ethernetは
以上の仕組みのおかげで、

「途中で一度ケーブルを抜いても、また差せばすぐ復帰する」

という物凄く強力な仕様になっています。これは他のネットワーク媒体に類を
見ません(嘘だと思ったらPPP接続中に電話線を抜いてみてください)。

しかし、一つ気づいたことがありませんか? 導線は1対しかないのです。という
事は……、例えばあなたが会社のマシンからルータ経由で外部に送ったメール。
そのメールの内容も(ネットワークによりますが)同じネットワーク上の全ての
マシンに流れているのです。そしてそのデータは、全てのマシンから充分読み
取り可能なのです。

(次号に続く)