[Edit][Create New]
[ IndexPage / ネットとプログラミング / web296 / No50.txt ]

No50.txt

Webの由来、と言っても一体なにからお話すればよいのか途方にくれるのですが、
今回はWebを扱っていく上で欠かせない「ハイパーテキスト」という概念につい
て取り上げてみましょう。

ハイパー・テキスト。Webに慣れ親しんでいる皆さんなら、耳にタコができるく
らい聞き飽きた単語でしょう。HTMLの「HT」の部分もこの「ハイパー・テキスト」
の略であるのはご存知の通りです。しかし、果たしてその意味を把握している人
がどれだけいるでしょうか?

文字通りに受け取れば、ハイパー・テキストは、「超・文書」となるでしょう。
つまり、既存の文書を越えた文書と言う意味です。

古来文書というものには、「順番」という概念が付きまとっていました。これま
での一般的な文書は、幾つかの単位、例えば「章」「節」「文」「頁」などで区
切られ、それぞれに確たる順序が定められていました。6章から読み初めて次は
2章、という読み方はありえないわけです。これまでは、確たる順序なく成立す
る一連の文書というのは一部の例外(辞書など)を除きあまり存在しなかったと言
えます。

ハイパー・テキストは、その「順序」という概念を取り除いた点に今までの文書
になかった、つまり今までの文書を「超」える点があったと言えます。文書と文
書のつながりを「順序」ではなく「関連」、つまり「リンク」で結びつけた(こ
れをハイパー・リンクと呼びます)のが、ハイパー・テキストと呼ばれる新しい
文書の形式なのです。

もちろん、昔から「注釈」「参照」という形で、順序にとらわれない文書構成と
いうものは多く存在していました。しかし、古来の紙媒体では、これらをスムー
ズに結びつける事が不可能です。しかし、電子計算機という新しいメディアに至っ
ては、これらが瞬時に行えるため、旧来で言うところの注釈や参照「のみ」で成
り立つ文書(ドキュメント)が存在しうるようになったわけです。

さて、Webの歴史とは違い、ハイパー・テキストの歴史はかなり古く、1962年(諸 
説あり)、実に東京オリンピックのさらに2年前にさかのぼります。

この頃テッド・ネルソン氏が提唱したのが、近年「もう古い、もう古い」と延々
言われ続けている割には代わる概念が現れず、いまだthe Internetの主たるドキュ
メント形式(HTML)として親しまれ続けている、ハイパー・テキストの概念です。

いわゆるマックな方々の中には、テッド・ネルソンの名を聞いて「あっ」と思っ
た人もいるでしょう。テッド・ネルソンと言えば、古いMacintoshユーザなら誰
もが一度は使ったことのある「ハイパー・カード」に大きな影響を及ぼした人物
でもあるからです。実は「ハイパー・カード」の「ハイパー」は、「ハイパー・
テキスト」の「ハイパー」でもあったのです(「テキスト」ではなく「カード」
とは控えめな表現ですね:)。

その後ハイパー・カード自身は、記述言語の稚拙さや、動作の緩慢さなど、種々
の理由から衰退していくのですが、その思想自体はHTTP/HTMLとして、今もなお
生き続けています