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●半角カナと機種依存文字(6回目: 機種依存文字概論)

さて、5回にわたって機種依存文字について解説してまいりましたが、いよいよ今
回から、半角カナに続いて「使ってはいけない文字」として有名な、しかしやっ
ぱり正体の良く分からない「機種依存文字」について解説していこうと思います。

さて、そもそも「機種依存文字」とは何をさす言葉なのでしょうか? 文字通りに
読めばそのまま「機種に依存する文字」のことであると推測できますが、COMPAQ
のPCでは表示できてDELLのそれでは表示できない文字などという話は聞いたこと
がありません。どちらかというと、MacOSとWindowsのようにOSに依存する現象の
ように思えます。

これは、この言葉が生まれた時代に理由があります。

おそらくこの言葉は、1980年中盤に出現したパソコン通信に溯るはずです(もしか
したらそれ以前のインターネットやワープロの文化にまで溯ることができるかも
知れません)。当時のパソコン(及びワープロのようなパソコン通信用の端末)はま
だまだキャラクタ端末が主流だった上、フォントセットを収めることができる程
の大容量ディスクがまだ普及していなかったため、フォント自体が本体に内蔵さ
れる形を取るものがほとんどでした。

つまり、当時は機種によるフォントの違いが致命的で、現在のようにフォントファ
イルの変更などでの対処が原則として不可能だったのです。そしてこのフォント
セット(文字コード)の違いが「機種依存文字」と呼ばれていたわけです。

もし現在この言葉を改名できるなら「フォントセット依存文字」と言ったところ
に落ち着くでしょうか? とにかく、半角カナと同様明確な定義があるわけではな
く、慣習から生まれた俗称と言って良いでしょう。

では、半角カナと同様、さっそく「機種依存文字は使ってもいいのか?」という命
題を考えてみましょう。

答えは「モノによっては別に使っても良い」です。もちろん全ての機種依存文字
と呼ばれる文字が使用可能と言うわけではありませんが、一般に機種依存文字と
呼ばれるもので、Webページ上で使っても良いものは幾つもあります。

その中でも代表的なのが「♪」などの記号と罫線文字( ┌┣等)でしょう。

特に初代NEC PC-9801シリーズでは、現在Webで一般に使われているJIS X 0208を
サポートしておらず、JIS X 0208では当然表示されるはずの上記の記号類は表示
できませんでした。それもそのはず、NEC PC-9801が開発された当時、現在のJIS
X 0208はまだ制定されていなかったからです。そしてその後もNEC PC-9801はしば
らくの間、後方互換のためにJIS X 0208のサポートを見送ってきました。そのた
め、長い間(といっても1990年前半くらいまでだったと思いますが)音符記号(♪)
や罫線文字は一部のPC-9801シリーズでは表示されず、長い事「機種依存文字」と
呼ばれてきた経緯があるのです。

では、何が使っても良い機種依存文字で、何がいけないのか? ここでは、やはり
半角カナの時と同様「規格に沿っているかどうか」というスタンスを取りたいと
思います。99%のマシンで表示されなくても、規格に沿っていればOKというスタン
スです。

今回は紙面が尽きてきたので、次回から本当に一般に機種依存文字とされている
文字は使ってはいけないのか、順を追って検証していきたいとおもいます。