★プロジェクトX

 NHKが毎週火曜日の9時過ぎに放送している番組「プロジェクトX(エックス)」。当初はまぁ何ということもない番組だと思っていたのですが、今やこの番組は日本中のオヤジたちのドえらい共感を集めておりまして、要望に応えて別の曜日の深夜に再放送はするわ、「プロジェクトX関連本」は何冊も書店に並ぶわ、とにかくもう大変な人気なのでございます。

対談場所:いわんや家居間・「プロジェクトX」を見ながら

トホ妻 「しかしNHKもまさかこの番組がここまで人気出るとは思ってなかっただろうねぇ〜」

いわんや「本屋でもさ、この番組の本がズラズラ並んでるもんな」

トホ妻 「こないだも電車の中でオヤジ二人がこの番組の話しててさ、よほど人気あんだね。」

いわんや「今や日本中のオヤジたちがコレ見てはダァ〜ッ!(ToT)って感じで泣くらしいぜ」

トホ妻 「こないだ何かで読んだんだけど、ある放送批評家みたいなヒトがさ、たまたまこの番組が伏見高校ラグビー部のコトをやったとき見たんだって。で、もう見ているうちに自分が放送批評家であることも忘れてダァ〜ッ!(ToT)状態だったらしいよ(笑)」

いわんや「しかしだね、この番組がオヤジに人気が出るのはわかるよ。とにかく番組作りが過剰にクサくていかにもオヤジ好みっつーか、“オヤジの文脈”で作られてる番組だもんな…」

トホ妻 「テーマ音楽が中島みゆきってトコからしてもう、とことんオヤジ向きだよね。しかも司会はオヤジのアイドル・クボジュン(笑)」

いわんや「しかもこの番組って△△工業の○○研究所にいた□□とか、企業名も個人名も具体的に出してるしさ、けっこうサラリーマンにとっちゃ身近なんだよな。自分の会社が出てる、なんてケースもけっこうあるだろうし」

トホ妻 「プロジェクトXに自分トコの会社が出るとなりゃあ、その会社は当日はもうノー残業デーで社員全員ウチ帰って見ちゃうよ(笑)」

いわんや「社員は気分いいわなぁ。でさ、最後にナレーションが『こうして…男たちの戦いは終わった…』なーんてのを聞くと社員全員がテレビの前で…」

トホ妻いわんやダァ〜ッ!(ToT)(笑)」

いわんや「ライバル企業の社員はけっこう悔しいぜ。『けっ…』とか思ってるよ、きっと」

トホ妻 「コドモが『これ、おとうさんのかいしゃぁ〜?』なんて聞くとさ、お母さんが『そういうコト言っちゃいけませんッ!』って口ふさいでたりして(笑)」

いわんや「逆に自分の会社が出るとなったら、関係者はみんな出たがるぜ〜」

トホ妻 「NHKがどっかの会社に取材に行くとさ、もうオヤジたちがオレもオレもって感じで頼みもしないのに我先に取材されたがるね、きっと(笑)」

いわんや「日本中のオヤジサラリーマンは今や『定年退職したらプロジェクトXに出演する』ってのが夢になってたりして(笑)」

トホ妻 「しかしさぁ、この番組…まぁオヤジ向けのクサい演出はいいとしよう。中島みゆきもクボジュンもいいとしよう。しかしこのナレーションだけはいただけないねぇ…」

いわんや「やたらブツ切れの日本語なんだよな」

トホ妻 「(声色を使って)タカハシは…走った…

いわんや「(声色を使って)機械は…無事だった…

トホ妻 熱いものが…こみあげてきた…

いわんやタカハシは…泣いた…

トホ妻 「ぎゃははは!(笑)もっと滑らかな日本語フツウに喋れって感じだよ」

いわんや「まぁしょうがない。オヤジ向けだし…」

トホ妻 「じゃ何かい?オヤジはああいうクサい日本語じゃないと理解できないのかい?(笑)」

いわんや「そうそう。そんなモンだって。なにせ“オヤジの文脈”で作られた番組なんだから」

トホ妻 「…そういう自分だって今や立派なオヤジサラリーマンなのよ。わかってんの?」

いわんや「おっ…オレは!…そんな…とは…(反論しようとするが反論の糸口が見つからない)」

 タクシ、あの番組に出て来る様々な実話、あるいはそれに携わった方々の努力は文句なく尊敬致しますし、そういう実話をテーマに番組を作ろうというアイディア自体も悪くはないと思っております。しかし「こういうのがオヤジ好みなんだ」と言わんばかりのあのクサいナレーションは、今や立派なオヤジの一員となったワタクシでもいささかヘキエキする部分が…ま、そう言いながらもけっこう見ているわけでございますが…。

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