★ルーベンスの絵

 ーベンスは画家でございます。ヨーロッパの美術館でルーベンスの絵を所蔵していない美術館はない、というくらい作品は山のようにございまして、あまりにも多くの作品を残しているので決定的な代表作を挙げるのが困難なくらいでございます。実は「フランダースの犬」に出てくる“あの絵”を描いたのもルーベンスなのでございますが、トホ妻はルーベンスをあまり好きではなく、以下の対談でのルーベンス攻撃はまさに舌鋒火を吐く勢いなのでございます。

対談場所:いわんや家Mac部屋

いわんや「せっかくだからこの“トホホ芸術対談集”に、何か絵画部門の話も入れたいんだけど、絵について話したっていうと…カラバッジオの描く“お稚児顔”が嫌いだとか言ってたよな」

トホ妻 「嫌いな絵って言やぁアナタ、何てったってルーベンスのあの“肉のタワミ”でしょ」

いわんや「おお、そうか!ルーベンスがいたな(笑)」

トホ妻 「もう、カンベンしてくれって感じよね、あの太った女神だの何だのの絵…。あんなのがヨーロッパ中に腐るほどあるのよ…ヨーロッパ旅行して美術館めぐりした人はみーんなルーベンスにウンザリして帰って来てるはずよ。アタシだけじゃないと思うよ」

いわんや「フランダースの犬にも出てくるよな?えーと…あの…マルコじゃなくて…」

トホ妻 「ネロ、ネロ。そうよ、あのネロが死ぬ間際まで見たいとか言ってた絵がルーベンスの“十字架降架”でしょ?よりにもよってルーベンスにしなくてもいいじゃないさ」

いわんや「いや、でもさ…」

トホ妻 「(いわんやに口を挟むスキを与えず)これがさぁ、レンブラントとかフェルメールならいいよ、説得力あるよ。しかしルーベンスだよ?ルーベンスの絵なんてそこらじゅうにゴマンとあって、もう“1トンいくら”っていうくらい宗教画とかあるのよ。見たいか?」

いわんや「(さすがにルーベンスが可哀相になって)でもさぁ、一応ルーベンスだって大画家なわけだし、アイツの作品の中から一つ何が見たいかって言われればそりゃぁ“十字架降架”とか…」

トホ妻 「アレを?うぇ〜…ルーベンスの絵なら、あの2番目だか3番目だかの奥さんを描いた絵とかさ、あの辺はいいわよ。でもあの太り女神とか肥満天使なんて、もうやめてくれって感じよ」

いわんや「(自分の頬を指さして)でもさ、あの奥さんの絵とかって、ホッペタに光沢が描いてあるんだよな(笑)」

トホ妻 「そうそうそう(笑)“テリ”が入ってんのよね」

いわんや「でもね、“十字架降架”はとりあえず立派な絵だよ。あれは…」

トホ妻 「あれが?ルーベンスの宗教画なんてヨーロッパ中に“東京ドーム何杯分”って言いたくなるくらい山のようにあるのよ!あの“肉のタワミ”を描いた絵が!」

いわんや「いや、だからさ、その山のような作品から一つ選ぶとしたら…」

トホ妻 「(いわんやに口を挟むスキを与えず)フランダースの犬もさぁ、途中までは悲しい話なのにさぁ、ルーベンスを最後に持って来たのがマズかったね」

いわんや「…ひでぇ…今の話、トホ妻に載せるぞ…」

トホ妻 「ダメよ。でもね、じゃあアナタはルーベンス好きだって言うの?あんなブヨブヨに太った女神がウヨウヨした絵の一体どこが…」

(以下、トホ妻のルーベンス攻撃続く…)

 ず、この対談を読まれた方の中にルーベンスの絵のファンがいらっしゃいましたらトホ妻に成り代わりましてお詫び致します。申し訳ございません。個人の絵の好みの問題でございますから嫌いなものは嫌いで仕方ないのですが、まぁトホ妻はよほどルーベンスの描く“肉のタワミ”が嫌いなのでございましょう。ワタクシも彼の描く太った女神などは正直申し上げてあまり好きではございませんが、でも「フランダースの犬」に出てくる“十字架降架”は大変ドラマチックで、立派な絵だと思うのでございます。

対談集INDEXに戻る