★サロメ

 の有名な「美しき青きドナウ」を作ったヨハン・シュトラウス…とは全く別人28号のリヒャルト・シュトラウスという作曲家が作った歌劇「サロメ」。自分の踊りの褒美として洗礼者ヨハネの生首を所望し、銀の皿に乗せられた生首に接吻したという王女サロメのエピソードを妖しくも官能的な音楽でオペラ化した傑作でございます。しかし世界のオペラファンにとって「サロメ」と言えば、まず関心の的は有名な“あの場面”なのでございまして…。

対談場所:いわんや家居間・衛星放送「サロメ」を録画しながら

いわんや「しかしまぁ、サロメ役の歌手も大変だわなぁ…」

トホ妻 「そりゃそうよ。全編ずーっと出づっぱりでひたすら歌い続けなきゃならないんだから」

いわんや「いや、そういう意味じゃなくてさ、つまり例の『七つのヴェールの踊り』んとこで設定上はサロメは全裸になることになってるだろ?その分、見た目とかスタイルとかの要求度も高くなるし、歌がうまくてもあんまり太った女性歌手とかじゃ無理じゃん…」

トホ妻 「まぁねー。でもアタシが読んだ本によると、昔カバリエ(超太ったオバさん歌手)がサロメをやった時は1枚も脱がずに、ただヴェールをヒラヒラさせてフラフラ踊っただけだったらしいよ。でも一応それなりにエロい気分は出てたんだって(笑)」

いわんや「1枚も脱がないってヒドくないか?本来は全裸になる場面なんだからさ…」

トホ妻 「昔、アタシが舞台で見た時はサロメがヴェールをだんだん脱いでいくと最後に肌色レオタードみたいのを着てて、まぁ遠目には裸っぽく見えるっていう演出だったわね」

いわんや「……(想像している)……」

トホ妻 「しかしさ、サロメっていうとドイツもコイツも脱いだ脱がないの話ばっかりでさぁ…評論家もオペラファンもたちまち単なるスケベオヤジだよね、まったくもう…」

いわんや「そうは言っても、全編のクライマックスなんだからしょうがないだろ」

トホ妻 「ナントカって歌手がサロメやった時はすごかったらしいよ。だんだんヴェールを脱いでいくとそれがシースルーになっててさ、最後の方になると裸になるよりエロだったんだって」

いわんや「……(想像している)……」

トホ妻 「今やオペラでも上半身裸くらい大して珍しくないもんね。何年か前にロシアのオペラが来日した時は“ヘアが見えた”ってんで結構騒がれたのよ。休憩時間のロビーでさ、いかにもオペラファンっていう感じの上品そうな紳士ふたりが『栗色でしたな…』とか話し合ってたんだって(笑)」

いわんや「(笑)そういや、以前二人で観に行った『アイーダ』でも凱旋シーンで上半身裸の女が出てきたってことがあったよなぁ」

トホ妻 「アナタ、あの時オペラグラス握り締めて見てなかった?(笑)」

いわんや「なっ何を根拠にそんな…言い掛かりだ!…(動揺している)」

トホ妻 「ほら、いよいよユーイングちゃんの『七つのヴェールの踊り』が始まるよ」

画面上ではマリア・ユーイングという比較的スタイルの良いメゾソプラノ歌手が激しいダンスを踊り始める

いわんや「何だかすごいな…ユーイングちゃん汗ビッショリじゃん」

トホ妻 「大変だよねぇ、歌手も…これだけの振り付け覚えなきゃならないんだから…」

画面上ではユーイングがだんだんヴェールを脱いでいく

いわんや「……(あれ?ひょっとしてコレは?と思い始める)……」

画面上ではユーイングが最後の1枚のヴェール姿になる

いわんや「……(えっ?あの下には何も着てないのか?と思っている)……」

画面上ではユーイングが最後の1枚のヴェールを脱ぐ

いわんや「…あっ…」

トホ妻 「…あっ…」

いわんや「い、今、完全なスッポンポンじゃなかったか?!(動揺している)」

トホ妻 「…のようにも見えたけどねぇ…でも一瞬だから…少なくとも上半身は脱いでたね」

いわんや「(動揺続く)かっ下半身はどうだった?…おおっ今これ、録画してんだよな?今んトコ、ちゃんと録れてるよな?」

トホ妻 「……アナタね、何見たがってるのよ…?」

いわんや「な、何も見たがってやしないさ。ただちょっと…驚いただけで…」

トホ妻 「しかしアタシも驚いたよ。サロメ役の女性歌手があそこまでハッキリ裸になったっていうのは初めてじゃないかなぁ?」

いわんや「だろー?驚いただろー?…(と言いつつ、ビデオデッキの録画状態を確認する)」

 の時は本当にビックリ致しました。ちなみに、この日録画した「サロメ」を後日もう一度観たところでは確かに上半身は裸になったようなのですが、遺憾ながら次の瞬間、画面はロングショットに切り替わってしまうため下半身については判然と致しませぬ。まぁNHKの衛星放送でございますから、そんなスゴい画面を期待する方が間違っているのでございます。え?期待してるのはオマエだ?とっとんでもございません。ワタクシは純粋にオペラ芸術の…ですから…深淵をですね、見極めたいという…その…

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