★世界三大映画音楽
先日、夏カゼに苦しめられながら寝ていたワタクシ、久しぶりに映画「第三の男」のビデオを再見いたしました。映画史に残る大傑作として有名な作品でございますが、改めて見て、またもやすっかり感心してしまったのでございます。トホ妻も「第三の男」が大傑作であるという見解では一致しておりまして、この点に関して両者に論議の余地はございません。しかし、そこから話の内容は“論議の余地”がかなりある話題へと移っていったわけでございまして…。
対談場所:いわんや家寝室・布団の中
いわんや「いやぁ〜…『第三の男』って…それにしてもまぁ…つくづく、傑作だワ」
トホ妻 「アレは傑作なのよ。異論はないよ」
いわんや「今回改めて見て気付いたんだけどさ、あのアントン・カラスのチターって、まるでオペラの伴奏チェンバロみたいに、ほとんどひっきりなしに鳴ってるのな」
トホ妻 「そうそう。鳴らないのは最後の追跡シーンくらいじゃない?」
いわんや「たぶんアレは編集し終わったフィルムを見ながらアントン・カラスが演奏したんだな。登場人物の動作とか、場面の切り替えにピッタリ合ってるし」
トホ妻 「緊張が高まるとちょっとテンポが早くなったりすんのよね」
いわんや「(感に堪えぬ様子で)いやもう何つうかアレは…映画も音楽もあまりにも傑作で…」
トホ妻 「あの音楽は映画音楽の中でも3本の指に入る傑作でしょー、そりゃもう」
いわんや「おお!実はこないだ、帰りの電車の中でたまたまそのコトを考えたんだよオレ。『映画音楽ベスト3は何であろうか』ってさ…」
トホ妻 「…そんなコト考えながら京王線乗ってんのかい、おっさん」
いわんや「いや、考え始めるとこれがなかなか面白いんだって。単に“音楽が有名”ってだけじゃなくて、映画と不可分に結びついて、ソレを聞けば映画のイメージがウリウリと頭に思い出される…ってくらいの力を持った映画音楽三つだぞ。けっこう迷うんだ、コレが」
トホ妻 「…で?」
いわんや「オレの考えでは、一つはやっぱ『第三の男』なんだよ」
トホ妻 「ふん、まぁ当然だろうね…で、次は?」
いわんや「もう一つがだな…ふふ…『男と女』なんですねー。これも異論はあるまい?」
トホ妻 「…まぁ…うん…そうだね。アレもまた傑作中の傑作」
いわんや「オレ、小学生の時にどっかの映画館で『男と女』の予告編見たんだけどさ、たまさか数分間の予告編を見ただけの小学生ですら、あの音楽はイッパツで覚えたもんな」
トホ妻 「いやー…ありゃまさにフランシス・レイ生涯の傑作だよ。それなのにフランシス・レイは何だって『ある愛の詩』なんて駄曲を作ったんだろうかねぇ?」
いわんや「で、とにかくこれで二つだ。『第三の男』、『男と女』」
トホ妻 「ふふん」
いわんや「問題は三つめだ。世界三大映画音楽の三つめ…」
トホ妻 「となりゃアナタ、やっぱ『禁じられた遊び』でしょ」
いわんや「いや、オレが電車の中で思い付いたのはソレじゃない」
トホ妻 「じゃ、何よ」
いわんや「意外なところからの選曲で、『燃えよドラゴン』のテーマなんだな、コレが」
トホ妻 「ぶっ…(笑)」
いわんや「笑うけどなぁ、あの曲はとにかくすげー有名だ。誰でも知ってると言っていい。そのくらいポピュラーな曲で、しかもあの音楽を聞けば全ての人がブルース・リーがヌンチャク振り回すイメージを思い出す。『燃えよドラゴン』を観てないオレですら、思い出すぜ」
トホ妻 「アチョーッ!!アタシも観てないけど、まぁ確かに思い出すね(笑)」
いわんや「ワチャーーッ!!だろ?それだけあの音楽は映画と不可分に結びついてて、強力なイメージ喚起のパワーも持っている。しかも誰でも知ってるほどの有名な曲となりゃぁ『第三の男』や『男と女』に匹敵すると言っても…」
トホ妻 「映画だけじゃなくて『天才・秀才・バカ』(注)の記憶も喚起するけどね(笑)」
いわんや「♪ばあーあーあーあーあーあーあーあーん ばんばん!!」
トホ妻 「ウヮチャーーーッ!!」
…こんな調子でオタク夫婦の夜は更けて行くのでございます…。一般に「世界三大○○」のタグイというのは、2つはかなりキッチリ決まっているけど最後の一つは人によって諸説ある、というのが通り相場のようでございますから、世界三大映画音楽の三つめが「燃えよドラゴンのテーマ」だってイイのでございます。しかし「第三の男」と「男と女」という二つは動かし難いというという点に関しては、皆様も異論は…え?『太陽がいっぱい』?『タラのテーマ』?『白い恋人たち』?…う〜む…。
(注):1970年代半ば頃に流行った谷村新司の深夜放送の投稿コーナーでございまして、オープニングのテーマ音楽が「燃えよドラゴンのテーマ」。10代でこれを聞いた方も今や30代〜40代…ああ。
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