★ウエストサイド物語

 「ウエストサイド物語」と言えば1960年代頃に世界的ヒットを飛ばした、元はブロードウェイの舞台ミュージカル。しかし下記の対談で話されているのはあの有名な映画の方に関してでございます。ワタクシ中学生の時にこの映画をリバイバルで初めて見てすっかり夢中になったのでございますが、トホ妻は大体ワタクシの好きなものには冷や水を浴びせようとするのでございます。

対談場所:いわんや家居間

いわんや「ニューヨークっつーとやっぱウエストサイドストーリーを思いだすよな」

トホ妻 「あの映画そんなにいい?アタシ全然いいと思わない」

いわんや「何言ってんだ!ウエストサイドこそミュージカル映画史上に燦然と輝く金字塔だろうが」

トホ妻 「えええ〜?アレがぁ?」

いわんや「俺、中学2年生ン時に初めて見てウエストサイドを見てさぁ、あの指鳴らすのをどうしてもマネしたくて、指の皮がムケるまで練習したもんだ…(遠い目)」

トホ妻 「それ単なるバカよ…アタシはサウンドオブミュージックの方が断然傑作だと思うけどね」

いわんや「チッチッチッ…分かっとらんねキミ。ロバート・ワイズ(注:両方の映画の監督)はウエストサイドで初めて“屋外ロケでミュージカルを作る”という斬新な技法を使ったわけで、サウンドオブミュージックは、まぁそれをちょいと発展させたっつーに過ぎぬのだよ(得意顔)」

トホ妻 「そうかも知れないけどさ、音楽はサウンドオブミュージックの方がはるかに名曲ぞろいだと思うよ。ウエストサイドなんて何?あれ、トゥ〜ナ〜イ♪なんてあんな曲、“エーデルワイス”や“ドレミの唄”に較べると駄曲じゃない」

いわんや「そんなことない。“マリア”とか“クール”とか、ウエストサイドにだって名曲はいっぱいあるぞ」

トホ妻 「大体さ、“トゥナイト”唄ってる場面じゃ二人の周りに紗がかかんのよね。もう見てらんないよ、まったく」

いわんや「そりゃまぁ…あの“トゥナイト”の場面はちょっと恥ずかしいところはあるが…」

トホ妻 「何ていったっけ?あの不良少年たちのグループ」

いわんや「ジェット団とシャーク団だろ」

トホ妻 「そうそう!ジェット団とシャーク団!(爆笑)そのトホホな名前聞いただけであまりの恥ずかしさにあたしゃもう…(まだ笑っている)」

いわんや「その名前の何がいけないんだよ!(だんだん怒りだす)」

トホ妻 「いやもう…古いよねぇ…ジェット団とシャーク団だもんね(まだ笑っている)」

いわんや「サウンドオブミュージックだって古い映画じゃないかよ」

トホ妻 「いや、そこが違うのよチッチッチッ…ウエストサイドは時代と共に古くなるけど、サウンドオブミュージックはね、あれは永遠なのよ」

いわんや「けっ…テキトウなこと言って…」

トホ妻 「テキトウじゃないわよ。ウエストサイドはさ、ああいう風に人種問題なんかを取り込んだから、今となっては逆に古く感じるのよね。“当時としては斬新だった”っつーだけでさ」

いわんや「けっ…」

トホ妻 「その点、サウンドオブミュージックはやっぱり永遠の名画と言うにふさわしいのよ」

いわんや「……けっ…(明らかに不機嫌ないわんや)」

 りゃ、サウンドオブミュージックは確かに名画でございます。それを否定する気はサラサラございません。しかし誰が何と言おうとワタクシはウエストサイド物語が好きなのです!あの序曲からはじまって冒頭約15分間の目くるめくニューヨークロケの素晴らしさ…ジョージ・チャキリスのカッコ良さ…。ワタクシが27才の時、初めての海外旅行の行先にニューヨークを選んだ理由の何割かは中学生の時に見たこの映画の影響だったのも確かなのでございます。トホ妻が何だってんだ…ちくしょう…。

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