4人の神父


 ある神学校にとても仲の良い4人の神学生がいた。彼らは神学校卒業後、それぞれ別々の教会に若き新任神父として赴任していったが、数年後のある会合で卒業以来初めて一堂に集まることができた。今やそれぞれいっぱしの神父となった彼らは旧交を温めるために公園を散歩しながら思い出話に花を咲かせていたが、やがてふと話が途切れた時、一人が思案顔でこう提案した。

 「なぁ、僕たちはまだ神父としては未熟だ。なのにいつもはしたり顔で信者の懺悔を聞く立場にある。だが、せっかく久しぶりに親友同士がこうして集まったのだから、どうだろう、今日はひとつ日頃の悩みをお互いに懺悔しあわないかい?」かつて同じ学校で学んだ親友同士、誰もが賛成の声をあげた。

 「じゃぁ、提案した僕から口火を切ろう。実は僕は神父の身でありながら悪い習慣に染まっていてね、毎晩酒を浴びるほど飲まなければ眠れないんだよ」率直な告白に接して残りの3人に衝撃が走った。すると2人目が…

 「そんなの悩みのうちに入らないよ。いいかい、僕なんて口では神への信仰を説きながら、その実どうしてもギャンブルの悪い癖から足を洗うことが出来ないんだ。教会の献金箱から金を盗みたくなってしまったことも一度や二度じゃない」再び他の3人が息をのむ音。だが3人目の沈痛な表情は前の2人以上だった…

 「何を言ってるのさ、君らなんかまだいい方だよ。僕は…僕は、実は教会の信者のある女性に性的欲望を感じてしまって夜も眠れないのさ。しかもその女性はひ、人妻なんだよ」3度目の衝撃が走った。そして4人目の神父…だが彼の煩悶ぶりは並大抵ではなく、他の3人は彼の心を開かせるために友情あふれる説得を繰り返した。

 「…わかった。じゃぁ僕も告白する。実は僕にもどうしても治せない悪い癖ってやつがあってね…それは…それは他人のスキャンダルをすぐ言いふらしてしまうことなんだよ!」