帝国美術館・驚異の絵画を発見!   2003年10月6日 科学面

 ホ妻帝国美術館は先頃、従来の学説を根底から覆す、画期的証拠となるスゴい絵を発見したと発表した。しかし発表された情報は非公式、かつ断片的なもので、詳細はナゾに包まれていた。しかし、わが帝国タイムスは帝国美術館との強いコネを生かして、ついにナゾの絵画の発見者への単独インタビューに成功すると同時に、モンダイの絵画の撮影画像まで入手したのである。ちなみに、その絵画発見者とは…

博士「よっ!」 

記者「・・えええッ??!!またアナタなんですか?トホホフ博士・・・」

博士「帝国タイムスの取材というから、もしかしたらと思っておったら、やっぱりキミか。あの新聞もよほど人材が払底していると見える…」

記者「博士、アナタは帝国科学研究所のヒトなんでしょ?何で帝国美術館なんかにいるんスか!」

博士「兼任じゃよ兼任。レオナルド・ダ・ビンチが科学者であると同時に芸術家であったように、天才にとって学問領域の壁など意味ないのじゃ。このウラジミール・トホホフにとっても…」

記者「はいわかりました結構です。要するに人材が払底しているわけですね。で?今回発見された驚くべきナゾの絵画っていうのは何なんですか?発見者が博士だと聞いちゃうと、どうせあまり期待できないという気分にすでになってるんですが…」

博士「ふっふっふ…見ればキミも腰を抜かすぞ。そもそもは…じゃな、府中市というトコロの市立美術館で開催されている、ある展覧会がキッカケだったのじゃよ」

記者「へ?府中市の美術館ですか?ウチからも自転車で5〜6分ですよ」

博士「その美術館でいま、どんな展覧会をやっとるか、キミ、知っておるかね?」

記者「さぁ…数カ月前、ソコに『モーリス・ドニ展』観に行きましたけど、いまは…?」

博士「今やっておるのは日本の明治時代の絵画を中心とした展覧会じゃな。ほれ、帝国美術館で保存してあるチラシ資料を見せてやろう、コレじゃ」

  

  

  

記者「ははぁ…なるほど。しかし、どうでもいいですけど博士、帝国美術館ともあろうものが貴重な資料をタタミの上で撮影するってのも…どうなんですかねぇ?」

博士「うるさい!予算がないのじゃ!それより、このチラシをよーく見てみたまえ。ここには陳列作品の中からピックアップしたと思われる3つの絵画が掲載されておろう?」

記者「チラシの写真が小さくてよくわかりませんが…たしかに絵が3つ…」

博士「ふふふ…その3つの絵の中で、特に右上の絵に注目してみてくれんか?せっかくじゃから、もうちょっと接写した写真を見せてやろう」

 

 

 

 

記者「うーん…知らない絵ですねぇ…」

博士「これはの、高村真夫という画家が明治44年に発表した『春日野』という作品じゃ。なぜわかるかって?チラシにそう書いてあるじゃよ。」

記者「そう言われても…やっぱ見たことも聞いたことない絵なんですけど…」

博士「ふふ…まだわからぬよな?もうちょっと拡大した写真を見せてやろう。ほぼ絵の全体概要と思われるアングルじゃ。ほれ…」

 

 

 

 

記者「ふーん…なかなか典雅なオモムキのある・・・・・んんッ?!!

博士「ほーれ。この、左に描かれた女の顔に思わず目がいくじゃろう?誰かに似ておろう?」

記者「こッ…これはッ…いやまさかそんな…」 

博士「信じられんかね?このアップを見ても?」

 

 

 

記者「だぁーーーッ!こ、この…やたら黒目がちのイヌ目!これはまるで…あの…」

博士「さよう。信じられんじゃろうが、この絵には何とあのトホ妻の姿が描かれておったのじゃ!明治44年に描かれた絵にすでにトホ妻が存在する…これが何を意味するかキミに分かるかね?」

記者「・・・はかせ・・・そ、それは・・・」

博士「・・言ってみたまえ」

記者「単なる偶然でしょ?」

博士「ばっかもんッ!いいか?こうして並べてみて、キミにはまだこれが偶然だと思えるか?」

 

 

 

 

   

記者「ひぃーーッ!!いや確かにその…に、似てはいますが…だからって博士…」

博士「『春日野』に描かれたこの女性。服装からしておそらく飛鳥時代とか、その頃の女性を描いたと思われるな?それは認めるじゃろう?」

記者「ってことはナンですか博士?トホ妻は千年以上前の飛鳥時代から生きてたって言うんですか?そんな夢物語みたいな…!」

博士「キミ、冷静になりたまえ。いいかね?飛鳥時代頃をモチーフにしたとおぼしき、この作品が発表されたのが明治44年じゃ。トホ妻が明治44年にこの絵のモデルをつとめた…と考える方がもっと現実的かつ科学的じゃろう?」 

記者「そう…かなぁ?」

博士「この絵の左に座ってる女、キミには何歳くらいに見えるかね?」

記者「うーん…まぁ……17〜18才とか…そんなもんですかねぇ」

博士「まぁそんなもんじゃろうな。仮にトホ妻が18才の時、高村真夫の『春日野』のモデルをつとめたとしよう。明治44年と言えば1911年じゃ。その時点で18才。とすると…」

記者「・・・・・」

博士「トホ妻は2003年のコンニチ、何と110才ということになーる!これは夢物語ではない!人間生理学的に考えても十分可能な寿命じゃ!『トホ妻は110才だった!』今までのトホ妻研究、すなわち『トホヅマロジー』の常識をくつがえす大胆な仮説、歴史的大発見じゃ!そう思わんかね?」

記者「・・・思いません・・・・」

博士「何を言う!この発見を記事にしてみろキミ!世界中から嵐のような大反響が巻き起こるぞ!」

記者「・・・記事になんてしませんってば。くだらない…」

博士「こ、こら!ちょっと待て!キミーッ!!」

  

担当:科学部いわんや記者

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