雛人形のディープな世界    2003年2月28日 家庭面

 て、もうすぐ楽しいひな祭りでございます。昔に比べれば少なくなったとは申せ、小さ女のお子様がいらっしゃるお宅などではキレイな雛人形を飾っておられる所も少なくないのではないかと存じます。世間でよく聞く例と致しましては、「女のコが生まれた夫婦」には夫婦どちらかの実家から雛人形が送られるといったケースが多いようでございますが、いわんや家は夫婦二人暮らしでございますし、結婚以来、雛人形なんて飾ったことは一度もなかったわけでございますが…

 日、トホ妻母、つまりワタクシの義母から連絡がございました。トホ妻実家に保存されたままになっている「昔のトホ妻用雛人形」を買い替えるので、それに関して何やら様々な指示がトホ妻に対して下されたようなのでございます。トホ妻母は地方の旧家出身の、実はなかなかの「お嬢様」なのでございまして、ひな祭りのような季節行事に関してもお詳しい方。ガサツな育ちのワタクシとは違うのでございますが、それにしてもすでに中年の域に達した娘(トホ妻)用の雛人形を買い替える…?

 を総合致しますと、「昔、トホ妻用に買った雛人形はデカくて立派なモノなのだが、実家に置いておくだけでは仕方がない」→「トホ妻の家(つまりいわんや家)でも置きやすい、小ブリな雛人形に買い替えて、娘の家に置かせよう」→「しかし人形というのはミダリに捨てたり焼いたりすると良くない。チャンと“引き継ぎ”をして、古い方からタマシイを新しい方に移植した方が良い」

 …ということのようでございまして、「古い雛人形」と「新しい雛人形」を両方並べてその「タマシイ移植作業」を執り行わねばならぬようなのでございます。確かに人形というのは、夜中にススリ泣いたり、ひとりでに髪が伸びたり、キチンと扱わないとグレて「呪い方面」に走りやすい、というのはワタクシも怪談などで聞いたことがございますが、昔ながらのシキタリにも通じたトホ妻母としてはその辺をキチンとしておきたいようでございます。

 してついに先日、その「雛人形ダブル展示・タマシイ移植作業」を始める日がやって参りました。とにかくまず「両方を同時に並べて置く」ということがカンジンらしゅうございまして、狭いいわんや家でそんなスペースがあるがどうか懸念されたのでございますが、とりあえずどちらの雛人形も「豪華7段飾り」といったタイプではなく「おびな・めびな」セットだけであると聞いておりましたから、置き場所も何とかなるだろうと思っていたのですが…

 ざその「旧雛人形」を見てワタクシはビックリ致しました。こんなにデカくて立派な雛人形だったとは!少なくともワタクシはこんなに立派な雛人形に触ったのは初めてでございます。えええ?コレを捨てちゃうのぉ〜?何だかもったいないような気が…。こういう古い人形のコレクターでも見たらヨダレを垂らしそうな逸品でございます。しかしどうせよくわかっていない我々でございますから、ここはとにかくトホ妻母の言う通りに致しましょう。

とっても立派な旧雛人形御夫妻のお姿

           こちらは割とかわいい新雛人形御夫妻

 想以上に旧雛人形が立派だったため、新雛人形を置く場所がございません。仕方なく、新雛人形は15インチというアホみたいに小さなテレビの上に板をわたし、その上に置くというトホホな形で何とか「デュアル雛人形設置体制」を整えたのでございました。で、ここからいよいよ「タマシイ移植儀式」が…と思いきや、あとは何もしなくて良いそうでございまして、こうしてデュアル展示しておくことによって、タマシイが自然に新しい方に移り、「旧雛人形」は「ただの人形」となって捨てようがどうしようが「呪い方面」とは無縁の存在になるらしゅうございます。ふうむ…深いぞ…ひな祭り。

 

 

 

デュアル雛人形設置体制の偉容。しかし旧雛人形御夫妻の前にマンジュウが供えてあるのはなぜ…?

 

 

 

  

担当:文芸部いわんや記者

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