さんたろう様よりの投稿

 ホ妻帝国の掲示板でもおなじみでございますが、それに加えて某HPの某掲示板では卓越した挿し絵画家としても有名なさんたろう様から初めての投稿を頂戴致しました。海外旅行ネタでございます。舞台はバンコクでございます。かつてバンコクに行った経験を持つワタクシとしても他人事とは思えない内容でございます。

 タイに行ったときのことです。

 晩の飛行機で帰るからなーと、夫婦でなんとなく街をブラブラしていたら、やたらニホンゴのうまい綺麗なお姉ちゃんに話し掛けられました。
「ニホンジンデスカ?(はい、そうです。)
コノサキハ アブナイ。キケンナ バショナンデス。(おぉ、なんて親切な人なんだ。)
ワタシノ シュジンハ ケイカン ナンデス。(それは 信用できますねぇ。)
カンコウキャクノ カタガ ケガヲ シテハ イケマセン。(あなたはタイ人の鑑です)
ソウソウ、キョウハ たいせんたーガ せーるヲ ヤッテマス。(セールとは見逃せないですねぇ)
スバラシイ モノガ タクサン アリマスカラ、しょっぴんぐ サレルナラ、ゼヒ イッテミテクダサイ。(是非、参りましょう)」と丸め込まれ、トゥクトゥク(50ccバイクの後ろに二人乗りの座席がついたバイクタクシー)を停められ、見送られました。


 
ゥクトゥクは大体値段交渉してから乗るのですが、その交渉もキレイなおねいちゃんがしてくれました。かなり安い値段で乗れました。私は少々、いえ、かなり怪しい気がしていたのですが、美人のタイ人と会話の弾んだ夫は
「ダンナさん警官ってゆうてたやんけ」と、のほほーんとしておりました。
私は、周りの景色を必死で覚えておりました。(しかし哀しいことにセールを期待していた気持ちもありました)


 
「タイセンター」なる場所につきましたが、それはタダのバッタ屋みたいなところでした。
素晴らしいものは何もなく、ただひたすら古くわけわからんものが、物凄い高い値札がついて並んでおりました。それは全然構わないのですが、ただその場所が一体どのあたりにあるのかという土地
鑑が全然わからなかったのです。周りは民家だらけだし、当然電話もない。私ら夫婦はタイ語は挨拶のみ。
「ここはどこーっ わたしはだれーっ」と脇の下に冷たい汗をかきながら顔は平静を装いつつ、タイセンターの店の近くで何台か停まっていたトゥクトゥクに「街まで行ってくれ」と頼むと、「ニホンジン?」と聞くので、「そうだ」と答えると、胸ポケットから何やら紙を出してきました。そこには日本語で、


あなたは、タイセンターに満足されましたか?実は私の知ってる素晴らしいお店がこのすぐ近くにあります。(地図が書いてあった)この車に乗って、今すぐそちらのお店に行ってみてください。必ずやご期待に添えるお買い物が出来るはずです。あなたの行きたい場所には、そのお店に行ったあと、責任もってお連れいたします。


「・・・・・・・・・・・・ 
もういいっっっ!!!!!」
ブチ切れた私は、とりあえず車の通る道端に立って流しのタクシーやトゥクトゥクを拾うことにしました。夫と私は道路の両側にたち、両方を通る車を捕まえられるようにしました。
「おちつけー おちつけー 必ずや生きて祖国の土を踏むぞー」と唱えながら、車を通るのを待っておりました。夫はなぜか落ち着いていて、「飛行機、夜やから間に合うって」などとヌカしており
ました。


 
10分ほど待ったとき、夫側の道路にトゥクトゥクがやってくるのが見えました。
すぐに夫が、手をあげて停めました。わたしは、飛ぶように道路を横切っていきました。
しかし、トゥクトゥクは行ってしまったじゃありませんか!!
「どうしたん!!? なんで行ってしもたん!!??」と 聞くと、
「いやぁ、スリ・ウォン通りまで、100バーツやって言うから、90に負けろってゆうてんけど、行ってしまいよった」
「・・・・・(
導火線火花中)・・ あんたは アホかああああ!!!!ここどこやねん!! タイのどこよ!電話どこよ!!言葉も通じへんやんか!生きて帰れるか帰れないかの瀬戸際やんか!!しかも、たった10バーツの差で行ってしもたってかぁ??10バーツって、あんたいくら!!40円やんか!! あんたはたった40円で、あたしが死んでもええんかあああああばかあああああ!」


 
からは、涙が滝のように流れ落ちました。
ぼんぼん育ちの夫も、「またすぐ来るってば」と言いつつ、事態の深刻さをやっと受け止めたのか、キョロキョロと、道路を見回しておりました。
私は泣きながら、「次トゥクトゥク来たら、1000バーツでも10000バーツでも乗ってやる。あたし一人で乗ってやる」と心に誓いました。
そうすると、5分もしないうちに、メータ−タクシーがやって来てくれました。
私は当然タクシーの中で夫と口をききませんでしたが、街に着いたとき、夫がメーターを指差して言いました。
「ほらな。メーター 98バーツやろ。あのトゥクトゥク高かったやろ」
私は、(2バーツって8円やんけ。。。。)という突っ込みをする気力もなく、ただひたすら洟をすすっておりました。でも「生きて帰れるから、まっいいかー」とも 思ったりもしておりました。 

                              終わり

 ンタロサン、アブナカッタネ。ニホンジン ワルイヒトニ ネラワレマス。デモ ワタクシハ ダイジョブデス。アニハ ニホンノ トヨタデ ハタライテマス。アネハ ニホンジント ケッコンシテ トウキョウニ スンデマス。ダカラ ニホンジン シンセキネ、アッハハハ…。コレカラ ドコ イキマスカ?…エ?パッポンドオリ?ソレナラ ワタクシガ アンナイ スルヨ。イイミセ シッテマス。イッショニ トゥクトゥク ノッテ イキマショウ。

 …といったような感じで日本人に話しかけてどこかに連れて行き、金を吐き出させようとするのはタイに限らずアジアの…いや、今や世界のワルイヒトのマニュアルになっているようでございまして、ワタクシがアジア4ヶ国出張に行った時もけっこう寄ってきたものでございました。皆様くれぐれもお気を付け下さい。おまけにバンコクの繁華街のポン引きの多さときたら…その時はホトホトうんざり致しましたが、トゥクトゥク…スリウォン通り…今となっては懐かしい名前でございます。

 かしまぁこのような状況下で運転手に10バーツ値下げを要求する御主人のズ太さも大したものでございます。こういうことは金額の多寡ではなく、料金が正当か否か?それが重要。実はワタクシ、出張の時にバンコクのカラオケバーで「そして神戸」を唄ったら、そこのママさんから「アンタ、ウタ、ウマイネ」と1バーツのチップをもらったことがございます。1バーツと言えば当時のレートで4円50銭…し、しかし、こういうことは金額の多寡ではなく、ワタクシが人生で一度だけ歌で金を稼いだ。それが重要。さんたろう様、このたびは投稿ありがとうございました。

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