あとたん子様よりの投稿4

 とたん子様から4度目の投稿を頂戴致しました。あとたん子様御夫妻はなかなかお芝居がお好きなようでございまして、今回は三谷幸喜氏のお芝居を御覧になられたようでございます。三谷幸喜と言えば映画などでも才人ぶりを発揮しておりますが、今回の舞台でもあとたん子様の御主人にある種のチカラを及ぼしたようでございます。

 日、私ども夫婦は三谷幸喜さんの「彦馬がゆく」というお芝居を観てきました。
その帰り、インターミッションを挿んで3時間余の芝居に東京・大阪で連続3ヶ月間出演する俳優さん達はすごいねと話しておりました。

「特に女優さんは、日本髪結ってると頭が重たいし、体力いるね。」
「日本髪は結ってなかったやろ。」
「??? (自分の髪で結っていないと言っているのか?)え?自分の髪じゃないけど、日本髪の鬘も重くて長いことかぶってるのはしんどいよ」
「日本髪とちゃうかったやろ?」
「???!!! 女優さんは全員日本髪やったよ。ほんまに覚えてへんの?!」
「・・・そうやったかなぁ・・・」
「一体、何観てたん?」
「せりふとか・・・ だいたい髪型は話の流れと関係ないやろ。」

 かに、髪型はお芝居の展開に一切関係ありませんでした。が、着物の柄や髪にさしていた簪の色とかいった細かいことではなく、極めて特徴のある髪型である「日本髪」を覚えていないとはどういうことなのでしょう。
 
の網膜に「日本髪を結っている女優さん」が写っていたのは確かです。が、それが脳に伝えられ記憶として貯えられる、一連の処理のどこで、「日本髪」が消えてしまったのでしょう。改めて、私は今日、脳の不思議に思いを深くいたしたのでございます。


まぁ、そういう私も、方向感覚に関しては脳のその部分が欠落しているに違いない、と確信
するようなことをしでかしてるのですが・・・

 はワタクシ、先日テレビであるオペラの舞台を観たのでございますが、これがもうとにかく演出もダメ、演奏もダメ、主人公のソプラノは超デブという、まことに問題の多いダメ舞台。こういう舞台に当たってしまいますと、「おお、あの相手役、主人公があまりにデブだから抱き締められなくて苦労してるじゃん」「あの衣装じゃデブがますます目立つぞ」などとアラヌ方向ばかりに目が行ってしまい、本来の観劇の楽しさとはかけ離れた印象しか残らないものでございます。

 う考えますと、今回の投稿のお話は、ある意味ではそのお芝居が舞台上の些末なことなど全く意識させないほど御主人の心を深く捉える傑作であったという言い方も出来そうでございます。出演女優たちが全員日本髪のカツラをかぶっていたということは、おそらく時代設定は江戸時代か幕末か…そういう時代設定でありながら、鑑賞者にカツラを見たことなど忘れさせてしまうという舞台というのは…そうそうあるものではございません。ま、そういう鑑賞者自体も少ないでしょうが…。

 回の出来事に直面したあとたん子様は『見たことを覚えていない』出来事が日常茶飯事のヒトなのですが、今日はもう、ほんと〜にびっくりしました。あまりのことに、頭がおかしいのでは・・・と不安になった程です」と述懐しておられますが、いやいや、やはりセリフに集中させてくれる素晴らしい舞台というのはカツラも衣装も装置も意識させないものなのでございましょう。余りに素晴らしすぎて「その舞台を見た」こと自体を忘れてしまわなければ…。あとたん子様、このたびは投稿ありがとうございました。

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