この SPA! の記事は、松沢堂=松沢呉一氏が書いた 新宗教の素敵な神々 という本を出版した後の騒動の顛末を書いたものだ。 SPA! の彼の連載とは関係ない、そもそも popeye 誌に連載した記事をまとめ た本に対してのアレコレ。なんか、SPA! らしい。
さて、この本、基本的に新宗教についてはけっこう好意的に書かれているんだ けど、一部のキタネーことしてたり、イイカゲンな教団に対しては、はっきり けなしている。それで、そんな教団とトラブってるんだろうな、こいつは、おも しろいことになったと、火曜日 SPA! の電車の中吊り広告で、このタイトルを 見つけてワクワクしつつ、次の日、朝一で買って電車の中で読んだ。 なにしろ、私自身、こんな連載しているくらいで、日頃から「ここでとりあげ られた団体からニラまれたらどうしよう?」なんて考えてたんで、気にならな いわけはない。それになんといっても、 新宗教の素敵な神々 がなかなかおもしろかったしね。それほどふか〜い本ではないんだけど。
...ところが...だ、読んでみたら、なーんか、肩透かしを食ったような...。
松沢氏が「新宗教...」を出版したことにより、幾つかの教団とトラブルがお きてることは、SPA! 誌上でも既に書かれていた。たしか訴訟の準備までして いるような内容だったと思う(記憶が確かならば)。 で、訴訟といえば名誉毀損、名誉毀損といえば、カッコイイこと言っておきな がら、松沢氏に金を渡そうとした○教団とか、阪神大震災を抑えられなかった ○○教団かな?と思っていたら、これが、「アッセンブリーズ・オブ・ゴッ ド教団」、「救世軍」、「沖縄べテル教会」の3教団だそうだ。 なんで?好意的に書いてんのに?と思ったら、なんでもこの本のタイトルの 「新宗教」つーのが問題らしい(このタイトルは popeye 連載時の「ココロの 扉」から変更されたもの)。彼らは「伝統的なプロテスタントの歴史的背景を 持つ」と主張しているので、「新宗教」の枠でくくられるのが気に入らなかっ たらしい。なーるほどね。やっぱり宗教ってムズかしいわね。
んで、SPA! の記事自体は、その後のいろいろについて、書かれているんだけ ど、結局、遠方の沖縄ベテル教会以外とは和解というか、話が付いてしまった。 手短に言うと話合えばわかるつーことのようだ。
...うーむ。松沢氏自身は「ああ、面白かったと。」と書いているけど、傍観者と しては、それほど面白いものではなかったような。それは、彼にしてみれば、各 教団との交渉過程において、スリリングな体験をしたかとは思うけど、その紹 介が他人にとって、エンタテイメントとして成立してるか?というとまた別。 知的刺激剤としてもどうかな?って感じ。
一方、抗議した各団体については、自らの意見が、すくなくとも全国規模に知 れわたるとことになったし(おそらく 新宗教の素敵な神々 を読んだ人より多いはずだ)、松沢氏にしてみれば、ライターとしてのネタは できたわけだし、これって、実はとっても八方美人な記事じゃないのかしらねぇ。
とはいえ、一つだけ興味深かった、というか教訓なんだけど、新宗教って、な んか非難めいたことをすると、すぐ訴えたり実力行使にでるようなイメージ があるけど、けっしてそんなことはないらしい。ちゃーんと調べてて、事実に 反するようなことは書いてないものに対しては、それほど抗議とか、あるもん じゃないらしい。 結局宗教団体だって、自分達にとって、プラスにならないと 踏んだことはやらないってこと。やくざが金にならんことは、 実際には、なかなかやらないのと一緒ね。