高齢社会の生活環境改善
−バリアフリーからユニバーサルデザインへ−

 本日は、東京都立大学都市研究所第12回公開講演会にお越し頂きまして、誠に有り難うございます。主催者を代表して一言御挨拶申し上げます。
 お陰様で本学は今年開学50周年を迎えることが出来ました。この講演会は、広く都民の皆様に御参加頂くことを目的と致しまして、毎年1回開催して参りましたが、今年は特に開学50周年の記念事業の一環として開催することになりました。
 本学は、1949年の開学以来、学部、大学院の再編や拡充、キャンパスの八王子への移転などの改革を経て、都立の総合大学として、そして、都内でも有数の総合大学として発展して参りました。
 このような改革の中で都市研究所は、1977年に都市研究センターとして設置されて以来、1994年に現在の都市研究所に改組され、今年で22年の歴史を刻んでいることになります。全国でも数少ない都市そのものを研究テーマとする機関であり、都市に関する学際的研究に取り組んでおります。
 7人の専任研究員を中心に7つの研究部門を持つとともに、3つのプロジェクト研究が学内外の研究者の協力を得て進められております。また、これらの研究成果は、研究者向けの論文集「総合都市研究」として、あるいは一般の方々を対象とした「都市研究叢書」等の冊子によって発表しております。
 都市研究所は、また、大都市東京が直面する課題解決にも研究機関としてお手伝いしていくという役割を持っております。また、身近なテーマを選んで、このような公開講演会を行ない、都民の皆様に直接研究成果をお返しする工夫もしております。
 本日は御案内のように「高齢社会の生活環境改善」をテーマに、4人の講師の先生方に講演して頂きます。
 皆様既に御存知の通り、我が国では、世界に類を見ない速度で高齢化が進んでおりまして、25年後には4人に1人が高齢者になるという、まだどの国でも経験したことのないような高齢社会を迎えると予想されております。
 こうした中で、高齢の方々も若い人も、障害を持つ人も持たない人も、誰もが共に生きるコミュニティーの創成を目指していかなければなりません。誰もが地域で当たり前に生活できるノーマライゼイションという理念のもとで、全ての人が安心して気持ちよく暮らせるまちづくりが課題となっております。バアフリーや、更に一歩進んだユニバーサルデザインは、誰もが安心して快適に生活できる環境を創り出すことを目指すものであって、このようなノーマライゼイションの実現には、欠かせないものであります。
 しかし、バリアフリーでも20年、ユニバーサルデザインは10年とその歴史が浅く、残念ながらまだ我が国ではその理解が必ずしも十分に進んでいるとはいえないと思います。
 本日のこの公開講演会を機に、行政に携わる皆様や地域で暮らす方々が、バリアフリー或いはユニバーサルデザインについてよく知って頂いて、誰もが安心して快適に暮らせるまちづくり、地域づくり、コミュニティーづくりが一歩でも進められたらと願っております。
 簡単ではございますが、以上をもちまして開会の挨拶と致します。本日はどうも有り難うございました。
[1999年11月10日 東京都庁都民ホール]