東京都立大学附属高等学校創立70周年記念式典

 東京都立大学を代表して、附属高校の開学70周年を心からお祝い申し上げます。70年と一口にいいますが、附属高校が今日あるのは先生方や卒業生の方々並びに数多くの関係者の方々の並々ならぬ努力の積み重ねの賜であります。この輝かしい歴史と伝統を築きあげられた方々に改めて敬意を表したいと思います。
 先程校長先生が「人生でいえば古希である」といわれましたが、論語では「七十而従心所欲、不踰矩」といっています。これは「七十になると思うままに振る舞っても道を外れないようになる」つまり「完成の域に達した」というような意味かと思います。
 実は都立大学は今年開学50周年を迎えています。「都立大学附属高校」といえぱ普通は大学が「親」で附属高校が「子」と思われますが、「親」が50才で「子」が70才というのは逆転現象のように見えます。然し、本校の前身は府立高等学校即ち都立高等学校という7年制の学校であり、その一部が本校になり、後半の2年分が都立大学の母体になったわけですから、都立大学と附属高校は兄弟であるということになります。
 先程校長先生が「やがて本校は6年制の中高一貫教育を行う学校になる予定である」と仰しゃいましたが、本校の前身が、今の制度でいえば、中高大一貫教育を行う7年制の学校であったことを思えば、誠に自然なことであると思います。都立大学もこの素晴らしい構想に可能な限りの協力をしたいと考えております。
 物事には「節目」が大切ですが、本校は70周年の節目であると同時に20世紀から21世紀に変わる節目でもあります。この節目に本校の輝かしい歴史を振り返り、新しい世紀へ向かって大きく飛躍されることを期待してお祝いの言葉と致します。
 本日はおめでとうございます。
[1999年9月13日 都立大学附属高校講堂]