都市における健康水準とあなたの寿命
本日は、東京都立大学都市研究所第13回公開講演会にお越し頂き誠に有り難うございます。主催者を代表して一言御挨拶申し上げます。
本学は東京都が設置する総合大学として1949年に開学して以来、満51年になります。その間、昼夜開講制や都民カレッジの開講など、常に都民の大学として都民とともに歩んで参りました。皆様の温かい御支援を頂きながら、学部・大学院の新設・再編、キャンパスの八王子への移転などの改革を経て、順調に研究・教育の成果を積み上げ、全国でも有数の総合大学として発展してきました。
このような本学の歴史の中で都市研究所は、大都市東京都が設置する大学に相応しく、「都市に関する研究のセンター」という全国でも数少ない都市そのものを研究テーマとするユニークな研究機関です。東京の一極集中化が進み、都市問題が深刻化してきた1977年に設置され、1994年に組織改正されて、今年で24年目を迎えました。
大都市の交通問題や住宅問題、高齢者問題など、今日の都市問題は1つの分野だけでは解決しきれないほど複雑化しております。5年前に起きた阪神淡路大震災を思い出して頂ければお分かりのように、ひとたび地震などの災害が起これば、その復旧には土木・建築の分野だけではなく医療・福祉を始め法律・経済・教育・心理学・社会学・地理学など、広範な分野の知恵が必要となり、都市というものが如何に多岐にわたる要素から成り立っているかということが分かります。都市研究所は災害時はもとより平常時における都市の問題についても多角的な研究をしています。そのような日頃の研究成果の一端を都民の皆様に直接お伝えしたいという趣旨で、毎年一回このような公開講演会を開催しております。
本日は御案内のように「都市における健康水準とあなたの寿命」をテーマとして、4人の講師の先生に講演して頂きます。
皆様既に御存知の通り、我が国は、男女共に世界の最長寿国となっています。特に東京都の平均寿命は、1950年代から他の46道府県をリードし続け、男女共に第一位を維持していました。しかし1980年以降は、他の道府県の平均寿命が急速に延びていったために、どんどん追い抜かれ、1995年にはついに男性が第20位、女性はなんと第33位になってしまいました。東京都は保健医療福祉システムが全国で最も優れているにもかかわらず、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。私達が日々生活している東京の、どのような点に平均寿命を縮める要因があるのか、長野県や沖縄県との違いは何か、その辺の事情について興味深い報告を聞くことができると思います。
今回の公開講演会を機に、住民と行政及び関係機関が連携し、都市における健康水準の実態について理解を深めるとともに、課題解決方法について考え、健康づくりを一歩でも進められたらと願っております。最後までじっくりとお聴き頂きたいと思います。
[2000年11月22日 東京都衛生局研修センター]