開学50周年記念シンポジウム
−国際化の中の日本−

 本日は、東京都立大学開学50周年記念シンポジウム「国際化の中の日本」にお越し頂き誠に有り難うございます。主催者を代表して一言御挨拶申し上げます。
 お蔭様で東京都立大学は今年開学50周年を迎えました。この間、本学は都立の総合大学として、各分野で国際的に高く評価される研究業績を積み重ねて参りましたが、その一方で、国際学術交流の推進、国際研究集会の開催、留学生の受け入れと派遣、大学院生の国際学術会議への派遣、国際交流会館の運営等国際化に対応する事業を積極的に進めて参りました。
 さて、いよいよ1999年も残すところ1月半となりました。西暦2000年を迎えるこの年の暮れは世界各地で様々なイベントが企画され、西暦2000年の正月をどこで迎えようか等という会話が聞かれるようになりました。今から40年程前までは一般の人々が外国に行く機会はほとんどありませんでした。然し、ここ十数年で状況は大きく変わり、今はごく普通の人々が正月を外国で過ごし、高校生が修学旅行で外国へ行く時代になりました。日本から外国へ、外国から日本へ、国境を越えて人間が、物資が、金融が、文化が大変な勢いで往き来するようになりました。本学でも留学生の増加は言うまでもなく、教員の国際交流は日常的になり、外国人専任教授も珍しくなくなる等国際化の進展が顕著です。世界は本当に狭くなりました。このような状況の中で私達は、好むと好まざるとに拘わらず、国際化の波に飲み込まれていると言って過言ではないでしょう。国際都市東京に住み、働き、学ぶ者にとって、「国際化」の意味を正しく理解し、国際社会の将来を展望することは極めて重要であると思います。
 本日は、国際化とグローバル化の意味、国際社会における日本人の生き方等について、東京都立大学名誉教授で国際政治学者の岡部達味先生と前国連事務次長の明石康先生に講演をお願い致しました。明石先生は皆様御承知の通り、世界の大国となった日本の国際社会での地位に相応しい人材として待ち望まれていた方です。先生のカンボジアや旧ユーゴスラビアでの御活躍は世界平和への希望の灯であり、また我々の誇りとするところでありました。本日は先生の40年間にわたる国連生活並びに緊迫した紛争地での調停工作等、国際舞台での豊富な体験に裏打ちされた貴重なお話を伺う機会を得ましたことを大変嬉しく思います。
 都立大学も、国際都市東京が設置する総合大学として、21世紀に向けて国際社会の中で如何に羽ばたいていくべきかを真剣に検討しております。本日は御来場の皆様方と共に国際化の中の日本のあるべき姿、都立大学の進むべき道について勉強したいと思います。御多忙な中をこの講演をお引き受け下さった明石先生と岡部先生に心から御礼を申し上げまして、私の挨拶と致します。
[1999年11月13日 都庁都民ホール]