新年挨拶2000
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
とうとう2000年になりました。一般には今年が「20世紀最後の年」ということになっているようですが、「21世紀最初の年」としている国もあるようです。然し、2000年から2099年までを20世紀とした方が分かり易くて良いという考えもあります。私もその方が自然だと思いますが、如何でしょうか。
御存知のように、本学は昨年開学50周年を迎え、これまでの歴史と実績を振り返りそれらを踏まえて、新たなる世紀へ向かって更に力強く歩み出そうとしています。本学が今まで以上に大学らしい大学として成長していくために、全学の英知を集めて大学改革を進めて頂いているところです。いうまでもないことですが、現在我々が取り組んでいる大学改革は、行政改革のために行うのではなく、あくまでも21世紀の大学の在るべき姿を求めて行っているのだということを改めて肝に銘じて進めていきたいと思います。1900年代が終わり、時代はいま歴史的転換期にさしかかっています。これからの少子化の時代、大学淘汰の時代に直面して、新しい大学の姿は如何にあるべきかを真摯に追い求めながら大学改革を進めていきたいと思っています。
とはいいましても、この厳しい状況の中ですから、耐え難きを耐え忍び難きを忍んで頂かなければならない点が多々あると思いますが、このような時だからこそ、立場の違いを超えて力を一つに結集して頂きたいと思います。今直ぐに大輪の花を咲かせることは困難だと思いますが、地道に良い種を蒔き、良い苗を植えておくことにより、遠くない将来に大きな実を結んでくれることを願っております。
ところで、今年は辰年です。「辰」即ち「龍」は十二支の中で唯一架空の動物ですが、自在に雲を起こして天に昇り雨を呼ぶ力を持つといわれ、優れた人物の喩えに使われています。然し、流石の「龍」も土が付いて「土龍」となると「もぐら」になり神通力を失ってしまいます。日頃、私達は研究室の中で専門分野の研究に没頭し、またそれぞれの領域の事務を繰り返すうちに、知らず知らず「もぐら」のように自分の狭い世界に閉じこもってしまいがちではないかと思います。皆さんには是非「土龍」ではなく「龍」になって天に昇り、九天を突き抜けて無限の宇宙に飛び出し、存分に駆けめぐって頂きたいと思います。グローバルという言葉はいまや日常語となった感がありますが、これからは環境問題等を見ても分かるように、全地球的視野を一歩進めて、全宇宙的な視野でものを考えるという姿勢が必要になって来るのではないでしょうか。大学改革についても、日本の高等教育は如何にあるべきか、更には人類の知的創造の方法は如何にあるべきかということを念頭においた上で、都立大学の研究・教育を考えていくという姿勢が求められるのではないかと思っております。
本年も全教職員が力を合わせて研究・教育にあたり、また大学改革を成功させ、この1年を充実した良い年にしていきたいと願っております。画龍点睛を欠いたり、龍頭蛇尾に終わったりすることのないよう、全ての教職員がそれぞれの持ち場で力の限りを尽くし、21世紀に向けて共に頑張っていきましょう。
[2000年1月4日 都立大学大会議室]