公立大学協会創立50周年記念式典

 本日は、お忙しい中、公立大学協会の創立50周年記念式典のために、伊藤衆議院議長をはじめ多数の御来賓の方々に御臨席を賜りまして、誠に有り難うございます。
 当協会は今から50年前、1949年10月に発足致しました。当時の大学をめぐる情勢から、公立大学相互間の連絡機関の設置が必要であると考え、同じ志を持つ33の公立大学の学長が未だ戦災の爪痕が残る東京に集まり、小さな会を結成したのが始まりでございます。その後順次会員が増えて、北は釧路から南は沖縄まで全国各地域に、単科大学から総合大学まで多種多様な形態にわたる66大学を擁するまでに成長し、現在に至っております。
 この間、当協会は「公立大学相互の協力によって、公立大学の使命達成に寄与する」ことを目的に、研究・教育体制の整備、入試制度の検討、財政制度の整備や国庫補助の要望、大学間の交流・協力、国際交流等様々な活動を展開して参りました。
 1995年1月17日未明に発生した「阪神・淡路大震災」のことは皆様もまだ御記憶に新しいことと存じますが、この震災に際して公立大学協会は「被災受験生に対する入試特例措置」をいち早く決定致しました。この措置は、被災地区の多くの受験生に希望と勇気を与えることができたと自負しております。
 新しい世紀を迎えようとする今日、大学を取り巻く環境は大変に厳しく、国公私立を問わず大学は相当な努力なしでは存在すら難しい時代を迎えようとしております。私ども公立大学も例外ではなく、この時代の荒波にさらされております。これは少子高齢化、産業経済構造の変化等、日本の社会全体の変化の中で生じていることであり、従来の方法や考え方ではこの荒波を乗り切ることは到底困難であることを痛感しております。
 新しい世紀を迎えるに当たって、自らの大学の存在意義を問い質し、今後如何にあるべきかを模索し、あらゆる可能性に対してあらゆる角度から挑戦することが大切であると思います。これからの大学にはこれまでにも増して独創性と創造力が求められ、学長の強力なリーダーシップのもと、それぞれの大学の本当の意味での個性を作り出していくことが求められる時代になると認識しております。
 このような時代のうねりの中で、近年多くの個性的な公立大学が地域の期待と時代の要請を受けて次々と誕生致しました。これからの時代にはこれらの公立大学が重要な役割を担うことになると思います。また、一方、既に数十年の歴史を重ねてきた多くの公立大学においても、より一層社会の要請に応え、地域の発展に貢献することによって、理解を深め存在感を高めることができると考えています。
 21世紀はすぐそこに近づきつつあり、いま社会は「歴史的転換期」にあるといえます。そして21世紀はこれまで以上に公立大学が注目を浴び、重要な役割を演じる時代になると確信しております。公立大学協会はこの50年間の地味ではあるが着実な成果を踏まえて、会員校の皆様と共に激動の時代の荒波を乗り切り、高い理想と真摯な熱意をもって日本の高等教育の明日を切り開いていきたいと考えております。
 最後に、本日御臨席頂いた来賓の皆様に重ねて感謝申し上げますとともに、当協会に対し引き続き温かい御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶と致します。有り難うございました。
[1999年10月6日 虎ノ門パストラル]

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