名古屋市立大学開学50周年記念式典

 公立大学協会の荻上でございます。名古屋市立大学の開学50周年を心よりお喜び申し上げ、公立大学を代表して一言お祝いを申し上げます。
 本学は、1884年に創立された名古屋薬学校にその端を発する名古屋薬科大学と、1943年に創立された名古屋市立女子高等医学専門学校に端を発する名古屋女子医科大学を統合して1950年に開学され、その後順調に発展を続けられて6学部6研究科を擁する総合大学になり、今年で満50歳を迎えられました。その歩みは、昨年10月に設立50周年を迎えた公立大学協会の歴史とほぼ重なります。
 本学第4代学長萩野鉚太郎先生は公立大学協会の第8代会長を、第5代学長高木健太郎先生は第14代会長を務められ、また第6代学長柴田清人先生は第16代会長として共通一次学力試験の導入・実施、公立大学設置団体協議会との連携に尽力されました。第7代学長蜂須賀養悦先生は第15代及び第23代会長として、常設委員会制度の創設や役員選出方法の明確化等、現行の公大協の制度を整備されました。その後、第8代学長の伊東信行先生が第24代会長を務められ、大学入試の分離・分割方式移行問題への対応、阪神大震災に伴う入学試験への対応等に御尽力頂きました。公立大学協会の歴史の節目節目で重要な役割を果たされたことに対し、心から感謝の意を表したいと思います。
 本学は医学部、薬学部、看護学部が地域の人々の健康の維持管理に貢献し、経済学部が地元経済界の熱い期待に応えて既に6000名を超える有為な人材を世に送り出し、人文社会学部は人間・社会・文化の在り方を学際的な視点から問い直してウェルビーイングを可能にする社会の実現に貢献することのできる人材の育成に努め、芸術工学部はデザイン都市名古屋に相応しいユニークな学部として芸術と工学を融合する新しい分野を対象に先端技術・感性・人間理解を備えた総合デザイナーの育成を目指していらっしゃいます。伝統ある学部は既に十分な実績を積み重ねて地域のみならず内外から高い評価を得ている一方で、新しい学部・研究科は独特の理念に基づく教育・研究を推進して21世紀の高等教育をリードして行かれることと思います。
 名古屋は昔から関東と関西の中間にあって、東西文化の交流の地といわれております。東西の情報を集め、取捨選択しながら独自の文化を築き上げてきた尾張名古屋は人材を輩出する地域として知られております。「織田が搗き、羽柴がこねし天下餅、座りしままに食ふは徳川」と歌われた戦国時代以来、天下を動かして来たのはこの土地の出身者達でした。
 これからも本学がますます発展して、新しい時代の高等教育をリードする都市型の大学として地域とともに歩みを進め、また活発で多様な国際交流を通じて国際的な人材を育てていかれることと期待致します。「ローカル」にしてかつ「グローバル」に、というのが21世紀の公立大学の在り方ではないかと考えております。本学が「グローカル」に発展して行かれることを祈念してお祝いの言葉と致します。
 本日は誠におめでとうございます。
[2000年10月28日 名古屋国際会議場]