県立長崎シーボルト大学開学記念式典

 東京都立大学の荻上でございます。公立大学協会を代表して県立長崎シーボルト大学の開学をお祝い申し上げます。
 御存知のように昨今は、少子化、財政難等が大学を直撃し、大学はその「あるべき姿」が厳しく問われ、「設置目的」や「個性」が明確でなければ存在できない時代になりました。
 本学は、金子知事の御挨拶にありましたように「人間尊重」「福祉の向上」「国際協調」という基本理念のもとに設立され、大学案内の冒頭に述べられている「設置の目的」の中で「21世紀の新しい100年間をリードする枠組みと人間の模索を目標として、新時代のシーボルト創出をめざす」と謳われています。このように本学は極めて明確な設置目的をもっており、何よりも名前が個性的です。
 古来「名は体を表わす」と申します。長崎といえばシーボルト、シーボルトといえば日本に近代医学を伝えた医学者でありますから、看護栄養学部は誠に本学に相応しい学部であると思います。更に、長崎は我が国が鎖国をしていた間も公式に国際交流が許されていた唯一の地であり、シーボルトは医学のみならず動物、植物、歴史、地理、言語等驚くべき博学で学問における国際交流の元祖ですから、本学に国際情報学部を設置したことはこれまた「長崎シーボルト大学」の名に誠に相応しいといえます。
 このように、設置目的が明確で地元に相応しく個性豊かな本学が順調に発展し、多数の新時代のシーボルト達が巣立つことを期待して、私のお祝いの言葉と致します。本日は誠におめでとうございました。
[1999年6月18日 県立長崎シーボルト大学講堂]