富山県立大学開学10周年記念式典

 公立大学協会の荻上でございます。富山県立大学の開学10周年を心よりお喜び申し上げ、公立大学を代表して一言お祝いの言葉を述べさせて頂きます。
 富山県立大学は、新しい産業づくりを進める富山県において、地域振興の原動力としての地元の期待や全国屈指の学習意欲を持つ県民の生涯学習に対する要請に応えるべく、開学されました。機械系・情報系・生物工学系の2学科及び大学院3専攻で構成され、科学技術の新たな拠点として、この10年間着実に実績を積み上げてこられました。体験学習を重視することにより、視野の広い人間性豊かな創造力と実践力を兼ね備えた人材を育成することをめざす教育方針は、技術立県の拠点校として学術と産業の有機的連携を進めるという本学の目的にとって、誠に相応しく意義あるものと考えます。又、公開講座の開催、社会人の受け入れ、産学連携等様々な角度から「富山県の発展をめざした県民の大学」として地元の期待に応えていらっしゃる様子を拝見し、富山の未来を担う「地域に開かれた新しい大学」としての面目躍如たるものがあると感服致しました。
 昔から富山といえば「越中富山の薬売り」が有名です。私の子供の頃にも毎年決まった時期に回ってきて重宝したものですが、この売薬業によって蓄積された資本が富山の産業の基礎となり、豊かな水と安価な電力に助けられて、現在では日本海側屈指の工業集積「富山テクノポリス」を形成するに至っています。21世紀は情報科学と生命科学の時代と言われていますが、本学が機械システム工学と電子情報工学並びに生物工学の分野の教育と研究を通して「頭脳集積とやま」の確立と「付加価値の高い産業づくり」に貢献し、来るべき新しい文明の時代をリードする人材を育てて下さることを期待致します。
 公立大学は何よりも先ず地域の期待に応える存在でなければなりませんが、10年前この地に県立大学を設置した富山県の高等教育に対する深い理解と積極的な意欲、並びに10年の間十分な実績を積み重ねることによってその期待に応えてきた本学の関係者各位に、心から敬意を表したいと思います。全国有数の学習県といわれる富山県において、郷土愛豊かな人々に支えられ、県民の強い学習意欲と情熱に励まされながら、富山県立大学が今後益々発展し、富山県の輝かしい未来を築いていかれることを祈念して、お祝いの言葉と致します。
 本日は誠におめでとうございます。
[2000年7月1日 小杉町文化ホール]