ますます多彩になる都民カレッジ

 都民カレッジは、都民の学習意欲の高まりに応えて生涯学習の場を提供することを目標に開設され、早くも9年目を迎えました。お陰様で順調に発展を続けることができ、今年度も340を超える講座を開いています。開講科目は大学レベルの一般講座が中心ですが、専門課程レベルの講座及び大学院修士課程レベルの少人数によるゼミ形式の講座も開設して、多様な学習ニーズにお応えしています。
 「生涯学習」という言葉は比較的新しいようですが、日本人は昔から「生涯学び続ける」心を大切にしてきました。江戸時代の儒学者佐藤一斎が「言志晩録」の中で記している
  少而学 則壮而有為
  壮而学 則老而不衰
  老而学 則死而不朽
は、その心を見事に言い表わしています。一方、その心の実践者として思い浮かぶのは伊能忠敬です。1997年度に開講された「伊能忠敬再発見」によれば、彼は50歳で隠居した後江戸に出てきて本格的に西洋の天文学・数学・暦学等を学び、55歳から71歳まで全国各地を測量して正確な日本地図を完成するという大業を成し遂げたそうです。まさに、生涯学習の日本代表といえるでしょう。
 都民カレッジは、機構改革のため本年4月1日より東京都教育文化財団と統合して東京都生涯学習文化財団となり、新たな発展を目指すことになりました。統合後も、都立大学のオープンカレッジとしての都民カレッジの性格は変わりませんが、この新しい財団には、東京芸術劇場、東京都現代美術館等もありますから、それらとタイアップした企画をたてることが可能になり、今まで以上に多彩な講座を提供することができると思います。
 今年度も都民カレッジは、より一層都民の生涯学習に貢献できるように努めたいと考えています。どうぞ大いなる知的好奇心をもってカレッジの扉を叩いて下さい。百花繚乱というべき多彩な講座を用意して、皆さんをお待ちしています。
[都民カレッジ『事業案内』1999年度版所載]