大阪夏の陣
千里の「万博記念公園」の青い空と緑の芝生を舞台に20世紀最後の“大阪夏の陣”の火蓋が切られた。ここは30年前に万国博覧会が開催された場所であり、見覚えのある「太陽の塔」や入場ゲートが当時のまま残っていて懐かしい。府大側は「なにわ魂」と書いた白い鉢巻を締め、我が方は伝統の江戸紫の鉢巻を締めて対峙した。相賀学長は「我が方は硬式野球とアイスホッケーが1部に昇格しましたから、今年は頂きですよ」と鼻息が荒かったが、その割には昨年まで我が方に倍する陣容を誇っていたチアリーダーが今年は3人しかいない等迫力に欠ける。幸先よく、エール交換は我が方が圧勝だった。
翌日から熱戦が始まった。硬式野球の応援に駆けつけると、敵が凡退した後我が方が2回表に得点圏に走者を出したところだった。「敵は1部に昇格したと言うけれど大したことはなさそうだ」と声を張り上げて応援しようとしたら、学生部長に「総長が顔を出すと負けるから」といって控室へ連れ戻されてしまった。応援に駆けつけた途端に勝っている試合を逆転された昨年のことがあるから、おとなしく従ったが、それが功を奏してか結果は楽勝だった。
柔道の試合を応援に行ったら、誰が見ても勝ちそうな選手が勝ったのは言うまでもないが、大学に入ってから柔道を始めたという1年生が見事に黒帯の相手を倒して勝ち星を稼いでくれたのが感動的だった。我が方のリードで進んでいたものの、なかなか決まらないのでハラハラしたが、柔道が勝った時点で15勝となり、「大阪夏の陣は関東方の勝利」という歴史上の事実を再現することができた。勝っても負けても清々しい若者達の群像に、両大学交流の長い歴史と未来に広がる友情を感じることができた。
今、両大学は「大学改革冬の陣」の真っ只中にあり、まさに生き残りをかけて新しい大学作りに取り組んでいます。21世紀に相応しい大学として発展するためにお互いに頑張りましょう。健闘をお祈りします。
[大阪府立大学東京同窓会々報第9号所載]