スポーツのすすめ
新入生の皆さん入学おめでとう。21世紀最初の春を迎え、キャンパスはみずみずしい活気に溢れています。体育会の学生諸君も新しい世紀の幕開けに相応しい希望と闘志をもって今年度の活動を開始したようです。
都立大学体育会の大きな行事といえば、先ずは大阪府大戦と横浜市大戦です。特に府大戦は今年で49回を数える非常に伝統ある大会で、毎年7月初旬に都立大と府立大が交互に会場となって熱戦を繰り広げます。「大阪夏の陣は関東方の勝利」という歴史上の事実に反して、それまで大阪遠征では3回しか勝ったことがありませんでしたが、昨年はそのジンクスを破り劇的な勝利を収めることができました。今年は都立大が会場です。「八雲会」の先輩達から寄贈してもらったばかりの銀色に燦然と輝く優勝カップを大阪に持って行かれないように頑張って下さい。期待しています。
一方、横市戦は府大戦と比べるとまだ歴史は浅いのですが、本学は開闢以来負けたことがなく、常勝記録を更新し続けていました。ところが、20世紀最後の年となった昨年、横浜市大加藤学長の「都立大の選手諸君、何時までもあると思うな優勝旗」という開会の挨拶に敬意を表する結果になってしまいました。しかし、この「歴史的敗北」は決して本学選手諸君が常勝に奢っていたためではなく、密かに「遺恨十年一剣を磨」いていたであろう横浜市大の選手諸君の錬磨の成果を讃えるべきでしょう。
ところで対横浜市大では、学生諸君だけではなく我々教職員も長年にわたりテニスの対抗戦を続けています。かつては、学生諸君と同様「常勝」それも「圧勝」続きでしたが、最近は些か状況が変わってきました。何と敵はキャンパスの真ん中に「教職員専用コート」を新設して練習に励むようになったために、我が方の「圧勝」というわけにはいかなくなったのです。今のところ学生諸君のような「歴史的転回」は起きていませんが、「敵もさるもの」決して油断はなりません。加藤学長をはじめとする「テニス熱狂集団」に不覚をとることのないよう、気を引き締めて頑張りたいと思います。
昨年体育会には「競技ダンス部が全日本学生選手権大会優勝!」という快挙がありました。都立大学の体育会において「全国制覇」は初めてのことであり、歴史に残る金字塔です。惜しみない拍手を送りたいと思います。
最近の学生諸君の多くは「スポーツは好きだけれど体育会に入るのはどうも・・・」と躊躇するようです。大学によっては今でも「しごき」などがあるやに聞きます。たしかに、学ランを着た幹部や応援団を見ると、怖そうなイメージがあるのかも知れませんが、「怖そう」と「怖い」とは違います。実際、私が知っている体育会幹部や応援団諸君は、実に礼儀正しく、紳士的/淑女的かつ人間味溢れる若者達です。それに、本学は学生数が少なく、部員が貴重ですから、体育会の先輩達は部員特に新入生を大切にしてくれます。
大学は云うまでもなく「勉強をするところ」ですが、今大学生に求められているのは学識と同時に豊かな人間性です。大学生の間に、様々な講義を聴いたり書物を読んだり友達と議論をしたり旅行をしたり、スポーツで大いに汗を流したり・・・しながら豊かな人格を養って下さい。幸い都立大学には体育大学にも負けない立派な運動施設があります。体育会に入ってスポーツを楽しみながら友人を作り、団体生活を通して心身を鍛えるのは人格の涵養に最適ではないでしょうか。
[『みやこどり』2001年度版所載]