21世紀の都市づくりに向けて提言を
都市に関する諸問題の研究は大都市東京が設置している本学に相応しいテーマであります。本学における都市研究の歴史は、1960年代に学内の都市研究者達が文部省の科学研究費で共同研究を始めたことに端を発します。これが基盤となって1977年に付置研究機関として都市研究センターが設置され、研究が組織化されました。その後1991年のキャンパス移転とともに都市研究センターも拡充され、1994年には教授会を持つ独立組織に改組され、都市研究所と改称されました。
この度の東京都立大学条例の一部改正とそれに伴う諸規程の改正により、1999年度からは都市研究所は総長を所長に充てるとともに全学委員会である運営委員会を中心に運営をする全学的組織になり、学際的な研究体制が整備されました。これにより今後は、全学的な協力を前提として、学外からの研究員受け入れや海外との交流等も積極的に行い、専任研究員・兼任研究員が共同で都市に関わる諸課題について総合的な研究を進めていくことになります。
都市研究所における研究活動は「部門研究」と「共同研究」を基幹としています。また、東京都からの委託による研究も行われています。今後は研究分野の拡充を図っていくとともに、大都市東京が直面する課題の解決に向けた研究への取り組みが、これまで以上に期待されています。
この度都市研究所においては、国立学校設置法の改正に先駆けて、都市研究所規程の中に「学外者からの意見聴取」を位置づけました。できるだけ早期にこの制度を活用して、都市研究所の活動をより一層活発にし、21世紀の都市づくりに向けて有意義な提言を世界の都市へ発信していきたいと考えています。
[都市研究所年報1999年度版所載]