21世紀の都市を科学する

 本学は大都市東京が設置している大学に相応しく、「都市に関する諸問題の研究」をテーマとして30年以上にわたり研究成果を蓄積してきました。都市研究所は、昨年度から総長を所長に充てるとともに、全学委員会である運営委員会を中心に運営される全学的組織になり、都市に関わる学際的な研究のセンターとして、様々な活動を行っています。
 今日の都市をめぐる諸課題は、環境問題や犯罪問題に端的に表われているように、国際的視野で問題を捉え探求していかなければ解決することができません。都市研究所は今後益々学外からの研究員受け入れや海外との交流等を活発に行い、都市に関わる諸課題について総合的な研究を意欲的に進めていきたいと考えています。
 都市研究所の重要な役割のひとつとして「社会との連携」があります。これまでも、東京都から「TDM(交通需要マネジメント)東京行動プラン」に関する諸課題の研究を受託し、東京の都市交通政策に貢献してきました。また、東京都の調査研究に関する評価調整制度に対して、全学の教員に専門家としての評価活動を依頼するなど連絡窓口としての機能を果たしています。これからも都市研究に関わる他の調査研究機関との共同研究を推進する等、社会との連携の強化を図っていきたいと思います。
 都立大学は大都市東京の大学として、一方では都民生活にしっかりと根を下ろした地域的(local)な研究を、また一方では世界に大きく窓を開いた地球規模(global)の研究を、グローカル(glocal)な視点で進め、複雑化する都市問題を様々な角度から多面的に切り取り、自然科学と社会科学の両面から探求することによって、21世紀における都市の未来像を提示していきたいと願っています。
[都市研究所年報2000年度版所載]