都市研究のCOEを目指して

 都市は刻々と移り変わる時代の流れを如実に反映します。人口が大都市に流入し様々な問題が起こり始めた1960年代に、東京都立大学では学内の都市に関わる研究者達がグループを作り、自然発生的に共同研究が始まりました。以来、「都市に関する研究」は、大都市東京が設置している本学に相応しいテーマとして、30年以上にわたり研究成果を蓄積してきました。今日では、都市研究所は運営委員会を中心に運営される全学的組織に発展し、学内外の研究者による都市に関わる学際的な研究のセンターとして、多方面にわたる活動を行っています。また将来に向かって更に弛みない向上発展を期すため、学外の方々の意見を伺い、研究所の運営に反映させるシステムをとっています。昨年度は「外部意見聴取」を2回実施し、数々の貴重な御提言を頂きました。
 都市研究所は、「Think globally, act locally」を基本姿勢として、グローバル化時代に相応しい地球的な視点に立った研究を行ない、その結果を都民の生活に活かしていく、「グローカル(glocal)な研究所」を目指しています。地球的な視点に立つ研究体制を強化するために、2000年12月5日に国連大学高等研究所と学術交流協定を締結しました。同研究所との連携により、国際的視野に立つ共同研究の推進、研究交流会の実施、シンポジウム等の共同開催等、都市研究の一層の推進と充実を図っていきます。
 現在全学をあげて取り組んでいる大学改革は、「都市研究」を第1の重点として位置付け、都市研究所を都市に関する世界の学術研究拠点(COE)並びにアーカイブセンター(COA)にすることを目標にしています。具体的には、実践的プロジェクト研究の充実、都市に関する調査研究機能の集積、都市政策に関する情報提供機能の強化、都立試験研究機関・内外の都市研究機関・民間企業等との連携強化等を実現し、アカデミックな基盤を背景に都市の在り方についての政策提言を行なう等、シンクタンク機能のより一層の充実強化を図っていきたいと考えています。
 時代の転換期にあたり、都市もその在り方を変えつつあります。都市研究所は21世紀に相応しい都市空間と都市社会の望ましい姿を描き出すことによって、世界の都市の未来に明るい光を投げかけていきたいと願っています。
[都市研究所年報2001年度版所載]