公立大学の発展をめざして
公立大学協会は昨年創立50周年を迎えました。この間、公立大学は国立大学と私立大学の狭間にあって数も少なく地味で目立たない状況が長く続いていました。然し、ここ数年各地で公立大学の新設が相次ぎ、現在では72校を数え、国立大学・私立大学と並んで我が国の高等教育を担う重要な位置を占めるに至りました。公立大学の中には大都市に設置された総合大学もありますが、地域の特性を反映した個性的な大学も多く、医・歯・薬・看護・社会福祉・生活科学・家政系等の大学は地域住民の健康と生活に貢献し、経済・商・工・農・情報処理系等の大学は地域の産業・経済の発展に寄与し、文・法・理・国際・芸術系等の大学は人材育成に貢献するとともに、地域の学問・文化の中心として重要な役割を果たしてきました。
公立大学協会では50周年を記念して式典やシンポジウムの開催、50年史の刊行等を実施しました。この機会に我が国の高等教育の一翼を担い地域の発展に貢献してきた公立大学の歴史と実績を積極的にアピールし、理解を深め存在感を高めることができたと思います。
一方、社会の急激な変化と少子化、財政難等により、大学はその「あるべき姿」や「個性」が厳しく問われ評価される時代になりました。公立大学は地域から期待され明確な設置目的をもって設立されていますが、多くの自治体が深刻な財政危機に瀕している状況の下で、運営のあり方等を巡り見直しを求める大学改革の厳しい波が押し寄せています。これに対して公立大学協会では「組織・制度、研究・教育体制」を担当する第1委員会と「財政」を担当する第5委員会が合同で「公立大学のあり方検討会」を設置して21世紀における公立大学のあるべき姿を検討し、白書『分権時代の公立大学』を刊行しました。公立大学は設置目的、役割、地域、規模、財政事情等極めて多様ですが、「地域の要請に応える研究と教育の創造」という高等教育に対する基本理念は共通しているはずです。公立大学協会は、新たな時代に相応しい公立大学の発展をめざして、大学間の交流を活発にし叡智を集める努力を続けつつ21世紀を迎えたいと思います。
[公立大学協会旧ホームページ所載]