卒業生に贈ることば

関係的自立を率先垂範

 卒業生及び修了生の皆さんの希望に満ちた門出を祝福するとともに、これからの皆さんの人生が充実したものとなることを願って已みません。
 大妻女子大学は皆さんに「短期大学士」、「学士」、「修士」及び「博士」の学位を授与しました。これらは皆さんが「自ら学ぶ力」を身につけたことを、本学が社会に対して保証するものです。しかし、皆さんは今後どのような分野で活動するにせよ、大学で学んだ知識だけで間に合うということはあり得ません。自ら目標を定め、日々に自己学習を重ねながら、常に問題意識をもって事に当たり、自ら問題を発見し、自らその解決方法を考えることになります。「主体的に考え、生涯学び続ける」ことを忘れないで下さい。
 皆さんは、大妻女子大学在学中に、「関係的自立」をキーワードとする教育を受け、豊かな教養と思いやりの心を持って社会的・職業的に自立する力を身につけたはずです。自信を持って一歩を踏み出して下さい。昨今は、他者とスムーズなコミュニケーションが図れない者が増加し、社会的自立が図れない者や「独善的自立」、「利己的自立」、「排他的自立」など好ましくない自立をしている者が多く見られますが、皆さんには在学中に学んだ「関係的自立」を着実に実践し、率先垂範して欲しいと思います。
 「関係的自立」の実現のためには「自らを律して行動し」、「他者の立場に立って考え」、「自己の良心と社会の規範やルールに従って行動する」ことが基本です。「関係的自立」を実践するに当たって、校訓「恥を知れ!」を忘れないで下さい。これは、自らを戒めるための言葉です。人生の「美学」を持ち、「品格」ある女性であり続けて下さい。
 私は皆さんがそれぞれの分野のリーダーになってくれることを期待しています。昨今は「男女共同参画」などと言われますが、歴史を振り返れば、昔、我が国のリーダーは女性でした。千々に乱れていた国を纏めて治めることが出来たのは「卑弥呼」という名前の女性でした。記録にある限り、我が国で最初に国際舞台に登場した人物は卑弥呼です。日本は、女性がリーダーでなければ治まらない国だったのです。皆さんも大妻女子大学在学中に身につけた「主体的に考え、自ら学ぶ力」を武器として、世界の舞台に挑戦して欲しいと思います。自分の可能性を最大限追求するとともに、人類の新たな時代を創出していくことが皆さんに課せられた義務であり、また責任でもあります。
 明日から社会に出て、様々なことを経験しながら成長し続ける中で、嬉しいことがあった時、困難に直面した時、学問や社会の新しい展開について学ぶ必要がある時など、何時でも気軽に母校を訪ねて下さい。教職員一同皆さんの訪問を楽しみにしています。また、大学祭やホームカミングデーなどには是非里帰りして後輩達を励まして下さい。大妻女子大学は皆さんの故郷です。
[千鳥会会報 平成25年度卒業記念号所載]