卒業生に贈ることば

「恥を知れ」を座右の銘として

 卒業生及び修了生の皆さんの希望に満ちた門出を祝福するとともに、これからの皆さんの人生が充実したものとなることを願って已みません。
 大妻女子大学は皆さんに「短期大学士」、「学士」、「修士」及び「博士」の学位を授与しました。これらは皆さんが「主体的に考え、自ら学ぶ力」、「社会的・職業的に自立を図るために必要な力」或いは「自立して研究出来る力」を身につけたことを、本学が社会に対して保証するものです。
 皆さんは明日から社会に出て自立していくことになりますが、どのような分野で活動するにせよ、大学で学んだ知識だけで間に合うということはあり得ません。社会に出れば日々新たな事柄に直面し、学習に次ぐ学習が必要になることは、昨今の激動する世相を見れば容易に想像がつくでしょう。「主体的に考え、生涯学び続ける」ことを忘れないで下さい。
 「志を立ててもって万事の源となす」は吉田松陰の言葉ですが、「志ある者は事竟に成る」、「Where there is a will, there is a way」です。自ら目標を定め、日々に自己学習を重ねながら、常に問題意識をもって事に当たり、自ら課題を発見し、自らその解決方法を考えなければなりません。「失敗を恐れず」果敢に物事に挑戦し、「転んでもただでは起きない」粘り強い精神で生きていって欲しいと願っています。
 皆さんは、大妻女子大学在学中に、「恥を知れ」を校訓とし、「関係的自立」をキーワードとする教育を受け、豊かな教養と思いやりの心を持って社会的・職業的に自立を図るために必要な力を身につけたはずです。自信を持って一歩を踏み出して下さい。明日から社会人となる皆さんには、在学中に学んだ「関係的自立」を着実に実践し、率先垂範して欲しいと思います。しかしながら、関係的自立の実践は決して簡単ではありません。「関係的自立」の実現のためには「自らを律して行動し」、「他者の立場に立って考え」、「自己の良心と社会の規範やルールに従って行動する」ことが基本です。校訓「恥を知れ」を座右の銘として「関係的自立」の実現に務めて下さい。「恥を知れ」は、学祖大妻コタカの「自分を高め、自分の良心に対して恥ずるような行いをするな」という、自らを戒めるための言葉です。人生の「美学」を持ち、「品格」ある女性であり続けて下さい。
 明日から社会に出て、様々なことを経験しながら成長し続ける中で、嬉しいことがあった時、困難に直面した時、学問や社会の新しい展開について学ぶ必要がある時など、何時でも気軽に母校を訪ねて下さい。教職員一同皆さんの訪問を楽しみにしています。また、大学祭やホームカミングデーなどには是非里帰りして後輩達を励まして下さい。大妻女子大学は皆さんの故郷です。
[千鳥会会報 平成26年度卒業記念号所載]