児童臨床研究センターの「弱冠」に寄せる

 大妻女子大学家政学部附属児童臨床研究センターが「家政学部児童学科学生及び大学院生の実習施設としての役割を有するとともに、児童学における臨床研究の推進とその成果を社会に還元する」ことを目的に設立され、順調に活動を続けて20年が経過しました。教育、研究、地域貢献の3機能を併せ持つ同センターが、着実に実績を積み重ねて「弱冠」を迎えたことは、歴代の所長をはじめとするスタッフの方々の並々ならぬ御尽力の賜であります。心より敬意を表するとともに、大学構成員及び関係者一同で慶びを共有したいと思います。
 教育機能については、本学の学生,大学院学生及び卒業生を対象に、こどもや親に質の高い相談活動のできる能力(家庭教育相談員基礎能力)を持つ人材の育成に務め、これまでに17名が家庭教育相談員の資格を取得していることは、正規課程の教育以外の教育活動として高く評価されます。
 研究機能については、こどもに関するそれぞれの分野における第一人者である各所員が児童の心理療法の開発、児童文化、保育・児童保健、家族関係、教師の自己開発等に関する研究を行うとともに、センター主催の研究会や討論会を毎年定期的に開催して成果を発信し、現職者の臨床研究の支援や公共機関等からの「研究員」の受け入れなどを行うことにより、研究成果の社会への還元に努めています。
 地域貢献機能については、年間を通じて面接、相談活動が行われ、毎年100件を超える心理臨床相談、保育・教育臨床相談に応じていることは、特筆に値します。さらに、千代田学「千代田区における教育支援員の育成に関する実践研究」の一環として、千代田区内の幼稚園や小学校で必要とされている特別支援教育支援員、理科支援員、野外活動支援員の育成プログラムを実施し、実績を積み重ねていることは、千代田区との連携による地域貢献として、大きな意義があります。
 設立以来順調に成長を続けて「弱冠」を迎えたセンターが、これからも「開かれたセンター」として着実に発展を続け「而立」、「不惑」、「知命」、「耳順」・・・を迎えることを期待し、大学として支援していきたいと思います。
[児童臨床研究センター研究報告 20周年記念号所載]