大妻のさくらまつりにおいでませ

 今年もまた千代田区が開催する「千代田のさくらまつり」の一環として、大妻女子大学では「大妻さくらフェスティバル2014」を主催します。千代田キャンパスにおいて、地域の活性化や地域文化の内外への発信を目的として、千代田区と区内の大学との共同事業である「千代田学」の事業報告や地域諸団体による魅力的な企画に加えて、本学の地域連携プロジェクトの発表も行う予定です。大妻女子大学は、桜の名所千鳥ヶ淵や靖国神社からは目と鼻の先です。花見の序でに是非お立ち寄り下さい。
 千鳥ヶ淵、靖国神社を始め千代田区には桜がたくさんあり、「区の花」に指定されています。靖国神社の桜は、明治の初めに木戸孝允によって植えられたのが始まりとのことです。千代田区の桜はソメイヨシノが中心ですが、バラ科サクラ属に分類される落葉広葉樹「サクラ」は数百種類あるそうです。日本では、本格的な春の訪れを象徴する桜の開花は特別な意味を持ち、多くの人が「開花予想」を心待ちにして、何となく落ち着かなくなります。
    世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし       在原業平
 桜前線は高知や東京など暖かい地域から北上しますが、これはソメイヨシノの話です。沖縄のカンヒザクラは、逆に、寒い方から暖かい方へ咲いていきます。つまり、山の上や島の北部から咲き始めます。桜の木が冬の間に経験する「寒さの積算値」が一定量に達すると、「休眠打破」が起きて開花するのだそうです。
 春といえば花、花といえば桜ということになっていますが、「花」が「桜花」を意味する様になったのは平安後期以降とのことです。万葉集で詠まれている花は、萩が140首ほど、梅が118首、橘が66首と続き、桜は40首程度ですが、古今集では、桜が70首に対して梅が18首、新古今集では桜が85首に対して梅が17首となり、花の主役は萩や梅から桜に代わりました。
   見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける       素性法師
 大妻女子大学の近くには、明治維新に活躍した人物の銅像があります。靖国神社には大村益次郎、九段坂公園には品川弥二郎と大山巌が桜に囲まれて立っています。花吹雪の中に立つ銅像を見上げながら、明治に思いを馳せるのも一興かと思います。
   散る花や明治は遠くなりにけり 

[『大妻さくらフェスティバル2014』所載]