大妻のさくらまつりに来てつかあさい

 今年もまた千代田区が開催する「千代田のさくらまつり」の一環として、大妻女子大学では「大妻さくらフェスティバル2015」を主催します。千代田キャンパスにおいて、地域の活性化や地域文化の内外への発信を目的として、千代田区と区内の大学との共同事業である「千代田学」の事業報告や地域諸団体による魅力的な企画に加えて、本学の地域連携プロジェクトの発表、俳句大賞発表、起震車体験なども行う予定です。大妻女子大学は、桜の名所千鳥ヶ淵や靖国神社からは目と鼻の先です。花見の序でに是非お立ち寄り下さい。
 大妻女子大学は千代田区三番町にあります。天明4年3月に江戸城中で若年寄田沼意知を斬り、「世直し大明神」と崇められた佐野善左衛門政言の屋敷があつた場所です。屋敷の庭には見事な桜があつたそうです。
    番町に過ぎたるものが二つあり佐野の桜と塙保己一
 残念ながら「佐野の桜」は残っていませんが、大妻女子大学の本館前には枝垂れ桜が植えられています。やがて大木に育ち、
    番町に過ぎたるものが今もあり枝垂れ桜と大妻の女子
といわれる様になることを期待しています。
 全国各地に枝垂れ桜の名木があり、中でも「三春の滝桜」が有名ですが、北の丸公園、小石川後楽園、六義園などにも立派な枝垂れ桜があります。
 あまり知られてはいない様ですが、栃木県の湯津上村(現在は大田原市に併合されている)に、慈覚大師の開基と伝えられる光丸山法輪寺という立派な古刹があり、西行に縁があると聞いて訪れたことがありました。大きな枝垂れ桜がありましたが、「樹齢800年」というので、西行が訪れた(といわれている)時のものではなく、2代目だろうと思われます。説明板には、西行がここで
   盛りにはなどか若葉の今とても心ひかるる糸桜かな
と詠んだと書かれています。この歌は、西行関係の歌集や研究書などには見られないようですが、那須の古刹にひっそりと伝えられた西行の御落歌なのかそれとも贋作か、御教示頂ければと存じます。なお、光丸山法輪寺には天狗堂があり、安置されている天狗面は、高さ210cm、幅160cm、鼻の高さ130cm、重さ1トン、木彫りでは日本一だそうですから、一見に値すると思います。
[『大妻さくらフェスティバル2015』所載]