海のロマンと日本の古代
古田武彦先生を囲んで─

 「目から鱗が落ちる」という言葉がある。古田先生の著書を読むと、久しく忘れていたそんな言葉を思い出す。
 「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙無きや」は聖徳太子の事績である。倭の五王は大和朝廷の天皇である。白村江へ出兵したのは大和朝廷である。・・・。これらは長い間、歴史の教科書に揺るぎない「史実」であるかのように記述され、国民的常識として信じられてきた。しかし、古田武彦先生の『「邪馬台国」はなかった』をはじめとする日本古代史の論理的・科学的研究は、これらの「史実」の数々が実は砂上の楼閣に過ぎないことを次々と容赦なく解明して私達を驚かせている。
 隠岐島産の黒曜石で作られた鏃が出雲とウラジオストック両方から出土するという事実は、縄文時代に出雲とウラジオストックの間に海を隔てた交流があったことを意味し、「国曳き伝説」が史実としてクローズアップされてくる。「天照大神はどこにいたか」「天孫降臨はどこで行われたか」・・・これらの神話も海にまつわる史実に基づいていて、海洋国日本の古代史は文字通り「海のロマン」である。
 先日、太宰府を訪れ「都督府古趾」の碑の前に立つ機会を得た。中国の天子から「都督」の称号を与えられた「倭の五王」がここに王朝を構え、国際的に日本列島を代表する政権として認知されていたということが史実として実感できた。更に、須久岡本遺跡や前原遺跡群、水城神籠石をはじめとする古代史の遺跡を訪ね歩き、神武発進の地「日向峠」を越えてみて、九州こそが古代日本の中心地であるとの思いを強くした。
 古田先生を囲むセミナーで、日本古代史を論理的・科学的に解明する方法を学び、目から鱗を落として、歴史学の新たな地平に立ってみませんか。
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