大学院教授

 最近は、「○○大学大学院教授」と書かれている名刺を頂くことが多い。
 我が国の大学制度は、教育基本法、学校教育法などにより規定されており、学校教育法第85条に「大学には、学部を置くことを常例とする。」、同第97条に「大学には、大学院を置くことができる。」などと定められていることが基本になっている。このため、従来は、大学の教員は学部に所属し、大学院を兼務することが通例であったが、1991年以降「大学院重点化」を実施する大学が次々と現れ、現在ではかなりの数の大学が「大学院重点化大学」の看板を掲げている。「大学院重点化大学」にあっては、教員は大学院に所属し、学部を兼務することになっているために、名刺には「○○大学大学院教授」と書かれることになるらしい。しかし、学士課程教育も担当する「大学院教授」という職種は、国際的には難解ではないだろうか。
 中央教育審議会の答申「我が国の高等教育の将来像」において、「現在、大学は学部・学科や研究科といった組織に着目した整理がなされている。今後は、教育の充実の観点から、学部・大学院を通じて、学士・修士・博士・専門職学位といった学位を与える課程(プログラム)中心の考え方に再整理していく必要があると考えられる。」と述べられており、2008年9月11日の諮問「中長期的な大学教育の在り方について」において、「学位プログラム」を中心とする大学制度について検討が求められている。(2009年5月)
[セミナーハウスニュース第176号所載]

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