七夕の笹に重たき願ひ事

 大学セミナーハウスは豊かな四季に恵まれている。
 春は曙に様々な花を愛で、夏は夜にセミが羽化するところを観察することが出来、秋は夕暮れに酒を煖め紅葉を焼き、冬はつとめて霜柱を踏みしめて散歩を楽しむことが出来る。
 この豊かな自然を近隣の小学生達に楽しんでもらうことによって「理科離れ」を未然に防止しようと考え、東京女子大学名誉教授で植物学者の福田一郎博士にお願いして「四季の植物誌〜親子で学ぶ自然観察セミナー」を企画した。「春の季節」は4月10日に開催して様々な花を愛でてもらうことが出来た。
 「夏の季節」は8月7日に開催して、マツ、スギ、ヒノキ、サワラ、ネムノキなどを観察した。アメリカから参加した小学生や中国人留学生も加わり、総勢70名を超える大セミナーになった。マツは葉が2本のもの、3本のもの、・・・、5本のものと様々な種類があったが、福田先生は「日本のマツは葉が2本です」と見事に締めくくられた。
 炎天の屋外で観察した後、涼しい室内で感想を発表してもらい、様々な願い事を短冊に書いて笹竹に吊し、月遅れの七夕を祝った。七夕は五節句の一つで、中国にその源を求めることが出来、『古事記』『日本書紀』に登場する由緒ある祭である。
   七夕の笹に重たき願ひ事
[セミナーハウスニュース第169号所載]

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