読書感想
2月26日

・陸軍中野学校終戦秘史

 旧日本陸軍のスパイ養成学校みたいなイメージのある中野学校。そのためか、中野の卒業生は戦後も頑なに自分たちのことを語ることはなかった。著者は長い時間をかけやっと一つの本にまとめることができたという力作。中野についての資料は数が少ないので、結構貴重な1冊かも。

 戦争前はそれだけつもりだったらしいが、戦争が始まってからは遊撃の指揮官となるための教育も行っていたらしい。そのため、中野の初期(1期生)と中期(2〜5期生)の間には理念の違いがあったようで、本書では主に中期の生徒の証言を元に当時の状況や行動があらわされている。上層部が全て中野出身者で固められたらもう少しマシな敗戦を迎えられたんじゃないかとも思った。少なくとも広島・長崎か沖縄の悲劇は無かったんじゃないかなぁ。あと、南京の疑惑とか。もっとも、他人に感化されやすい性質なので思い込みかもしれないけど。

推薦度 ★★☆☆☆


2月17日

・Twelve Y.O.

 既刊作品が次々と映画化される(撮影中も含む)ところから“ヒットメーカー”と呼ばれている福井敏晴の江戸川乱歩賞受賞のデビュー作。

 自衛隊の特殊部隊(?)が出てきてどーのこーのっていう話なのだが、「亡国のイージス」もなんかそんな感じだったなぁ。と思っていたら、この作品の前に乱歩賞に応募した作品も自衛隊絡みの話らしい。どうやら自衛隊を使った冒険小説(って言わないか、今は)がこの人のフィールドみたい。

 共通点は惰性で自衛隊にいる中年が話に絡むところか?この中年が微妙に重要人物(っていうか主人公なんだろうな本当は)扱いなのがミソなんだろうか?
 あ、あと「自衛隊(と日本政府?防衛庁?)は“自衛”の文字通りに米軍に頼らない意識を持つべきだ」みたいな自衛官が騒ぎを起こすってことかな。いや、そうでないと物語がはじまらないんだろうけど(^^;

 先に「亡国のイージス」を読んだせいかなんとなく物足りない気がする。やはり、世間に発表した順に作品には触れるべきだな。

推薦度 ★★★★☆(亡国のイージスを読んでいたら★★☆☆☆)


2月14日

・煙か土か食い物

 噂の王城舞太郎のデビュー作。巷ではそこそこ人気のある人らしいのだが、うーんどうなんだろう?個人的には面白いとは思うが、なんかあちこちで見かける評判ほどじゃないような気もする。まぁ、面白くなかったってのよりは良いか。

感想は特になし。

無しって言うか、なんとなく物足りないと言うか食い足りないと言うか。次の作品も読んでみるか、と言う感じは受けましたね。すいません、こんな感想で(^^;

推薦度 ★★☆☆☆


2月10日

・沙中の回廊

宮城谷昌光氏の中国もの。秦の始皇帝が出てくる前の話って春秋戦国時代ってやつだっけ?忘れちゃったなぁ。

主人公は士会。すいません、僕は知りませんこの人(^^; っていうか、三国志以外の人物で知っているのって太公望くらいです(^^;

中身は立身出世の物語(まぁ、歴史ものだし)なんだけど、主人公は別にそれを望んでいたわけじゃなくて気づいたら一番高い位置に居たみたい話。
面白いんだけどなんだか物足りない感じ。淡々と物語が進んでいって気づいたら終わっていたような。こういうのを読みやすいって言うのかな? ただ、続けてこの人が書いたものが読みたいとは思わなかったなぁ。年に1冊でいいや、って感じ。あんまり相性が良くないのかもしれない。

推薦度 ★★★☆☆


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