浪  人  記  '96年度

'96夏始動  手短に言うと医学部再受験のはじまりはこうでした。
社会選択  社会科受験勉強の経験ゼロ。さあ何を選ぶ?
物理はZ会と共に  私はZ会の物理添削指導員。
ごぶさたの化学  化学は殆どやりなおしに近かった。
その他の科目・国数英  数学教員免許有り。なのに。
秋と言えば模試  現役と浪人の力の差がまだまだあるころ。
模試にて発見:外観  約10年ぶりに模擬試験を受けた私の見たものは
模試にて発見:注意事項  試験監督の注意事項に時の流れを見た。
'97出願手続き  多浪の出願って結構面倒なんですね。
'97センター試験:会場  私の現役の頃は共通一次って言ったんです。
'97センター試験:中身  この年、問題は新課程に易しかった。
'97二次試験:前期  半年でここまで来れたんだと勢いで受けてみました。
'97二次試験:後期  とりあえず一通り経験。


浪  人  記  '96年度


'96夏始動

「あ〜生まれ変わったら絶対,医学か生物に行きたいなぁ〜。そんで思いっきり研究するんだ〜」 「何も生まれかわんなくても,今やれば?」「ん〜・・・・そっか。」

社会選択

気の進まない記憶ものは苦手。世界史よりは日本史の方がまだましだろうか?ん〜きっとそうだろう。 「あのね、倫理がいいよ。簡単だし,宗教や思想に強い人には絶対お勧め。」 えっ?そうなの?私の頃の過程では政経,倫社というのはちょうど無くなったので良く知らなかった。 自分はほとんど無宗教な性格だが,親戚中が寺だらけで幼少から寺にも仏教教育絵本にも親しみ、 家族の団らんでもその手の話題は自然と多かったのだ。どれどれ。 「下の大乗仏教の思想を表す文章の中に一つだけ小乗仏教を表す文が入っている。それはどれか。」 まじまじ?楽勝じゃん。次は心理。 「この行動は、次のうちどれか。抑圧,逃避,昇華,合理化」ほほ〜,確かに楽。 さあこれで足りない所を埋めればばっちり!? もっとも、そうそう甘いわけはなく、足りない所は結構ある事はすぐ分かったが、それにしても 教科書は読めば読むほど面白くって止まりません状態。国語や社会は歳喰えば喰うほど面白いって 言うけど本当。

物理はZ会と共に

日中、Z会の物理の添削指導員をしていたので,この科目はこれがそのまま勉強になる。 みんな実に色んな間違え方をするのでそれを一々掘り下げるとあらゆる角度から考えることになるし、 良く引っかかるところは勢いこっちも何度も何度も添削するので強化される。 添削指導は生徒の感想欄を読むのがとても楽しみなのだが、自分も改めて受験生の立場になると、 より優しくなれると言うか、色んな子を受け止める余裕が増した気がした。

添削者にとって、答案の”出来”の善し悪しというのは気にならない。分からなくて、手がかりさえ つかめなくて、途方に暮れている答案でも、努力の跡というか、何とか取り組もうという気持ちと いうのはそれなりに伝わるし、こっちも頑張れーという気持ちでなるべくポイントを絞って教えて 上げたいと思うものだ。一方あんまりにも努力の跡もないような答案とかおそろしく投げやりな殴り書き は気分のいいものではない。(勿論手を抜かずに添削はするけど)

しかし、受験準備を始めてからは、そういう時も,大変だしね、いやになったり自暴自棄になることだって あるしね。まあこれでも読んでご覧よ。と、ちょっとでも何か役に立つか、元気になれそうなことはないか と芯から思って書く度合が増した。人間何事も経験だね、と思うことしきり。

ごぶさたの化学

殆ど受験レベルではなかった高校以来からやり直し。化学という学問自体はとっても面白いが 詰め込み記憶が大変苦手なので科目自体があまり好きではなかった。 その点を考慮して、ここを押さえればばっちり!受験ポイントはこれで覚えろ、というのではなくて、 理工系向けのいっちばん詳しそうな、受験に出るとこだけじゃなく、何でそうなるのかという所までの 高校の範疇を越えた細かい解説や、実用、研究での応用のエピソードなどがいっぱいのった三省堂の化学 の新研究という参考書を買った。

これがとってもとっても面白くて、どーしてわけも分からず覚えなきゃならんのだー!ということもなく、 範疇を越えた面白い所は別に覚えなきゃいけないわけでもないし、かえって必要なことがすっきり頭に入 りやすくなった。著者は奈良高校の先生でまだ若い人で、生徒が授業の中でどうして?何で?という質問に 答えて一生懸命プリントを作ったりしていたけど、ついに本にしてしまったと書いてあった。 いい先生だなあ、だからこんなに面白い参考書になったんだなあとそれを読んで嬉しくなった。

その他の科目・国数英

あとの科目は子供を寝かしつけた9時〜9時半以降に。 現国・唯一安定して高得点が稼げるもの。ましてセンターのマークなら漢字も語句も読解もまずめったに はずさなかったので、数回過去問をのぞいただけ。

古文・これはやらなければ仕方がないが、やったらやっただけ上がるので少しずつこつこつと。

英語・嫌いではないが得意とは言えない。とにかく解くしかない。問題集、過去問をせっせと。 単語や熟語は紙切れに書いて冷蔵庫に張って通りかかるたびに見たりした。

数学・大学の専門は数学。数学の中・高の教員免許も持っている。な〜の〜に〜。 情けない事に最初から最後まで最も不安だったのがこれ。解けば解くほど思い出しはするし、 力はじりじり付いては来るのだが。自分の数学センスはまったく信用できない。

でも12時半には眠くなくても無理矢理寝てた。体力がいるのだ,家事育児。

秋と言えば模試

「そろそろ模試が始まるよ」「あっそーか。やっぱ受けといた方がいいよね」 「ぶっつけで受けるつもりかぁぁ〜〜それはあまりに無謀とゆうか,厚かましいぞお〜」

模試にて発見:外観

10年ぶりに模試に行くと周りの高校生は・・・か、かわってない。東京のど真ん中の会場なのに。 コギャルはどこ?ミニスカも茶髪もロンゲも,いることはいるのだが。 それでも国立理系などを受ける学生は変化がすご〜く緩やかだと実感。 試験が終わって外に出ると街の雑踏に溢れる分かりやすいコギャルの嵐。こんがり肌に化粧にピアス。 超ミニの制服から出るナマ足にルーズソックスに派手な茶髪。

模試にて発見:注意事項

試験前の注意事項「ポケットベル,携帯電話の電源を切って下さい・・,」 おお〜!時代は変わったねえ、ポケベルだって!携帯だって!ちょっと聞いた聞いた? と内心盛り上がったが言う相手もないので静かにしていた。

自分の現役時代「試験前の注意では計算,翻訳機能のある時計ははずして下さいって言うんだよ」と 両親に話して聞かせると、へぇぇ〜と感心しまくっていたのを苦笑と共に思い出す。

出願手続き

センターの出願書類の配布が始まった。最寄りの国立大学埼玉大に。車で10分。まだ保育園に行って ない下の子を連れて行く。背中に赤ん坊を背負ってキャンパス内をてくてく歩くのは、何だか とっても面白かった。窓口で聞くとすぐ書類をくれた。職員はどの人もおんぶ姿を見ても平然としていた。

卒業証明や2次試験でいる成績証明は高校に郵送で送ってもらうように依頼する。大学に行き直したり、 流転の進路を取っている人の割と多い女子校なので多分慣れてるだろうし、知り合いの先生も既にあまり いないのでこれは気楽なものだった。

健康診断書(2次用)はこれは自分で取ってこなければ仕方ない。自費だととっても高いので痛い。 行きつけの内科・小児科で頼むと、受験するの?えらいわねえと看護婦さん達が励ましてくれた。 受験料は親に出してもらうときも結構かかるんだなあと思ったものだけど、今回は別段私を就学させる 義務もなんにもない人のお給料から出しているので、とっても高く、重く感じられた。

'97センター試験:会場

東武東上線の霞ヶ関駅の東京国際大学。沿線なので駅まではいいけど駅から遠い。景色は寂しい。 とってもきれいな新しい大学。生徒数が少ないのだろうか,低層棟が広い敷地にゆったり建っている。 敷地にぎっしりと校舎が林立している,やたら人口密度の高い大学にいたので異国のように感じる。 どこもきれいで広々していて空調もばっちりで快適。控え室の学生食堂も広くてきれい。 中を探検していて,ふと入り口辺りにあったガラスケースの中のメニューのサンプルのろう細工を見たら 「これはサンプルです。食べられません」の紙があって笑えた。
断っておかないと,サンプルの料理を食べちゃおうとする人が結構いるんだろうか。

'97センター試験:中身

男女混合。最近は再受験も結構いるし,年寄りもいるだとろうと思っていたのに結構みんな若い。 数学の一つが妙に簡単。後日分かったが新課程と旧課程の難易度がすごく違っていて、 たまたま楽勝な方を取ったのだった。しかし翌日自己採点すると89%。医学部を受けるなら 最低九割は欲しいので,これはいい成績ではない。しかもこの年の問題はやや簡単だった。 しかし完全に圏外,でもない。そもそも今年は様子見のトライというつもりだったのに, ひょっとしたらという欲が出てきた。

'97二次試験:前期

命知らずにも東京医科歯科大学を前後期出願。
受験番号1102に、「いい鬼」だー。なんか,かわいいね,などと勝手に盛り上がる。 意外にも2次の問題が殆ど書けたのでよけい期待も盛り上がる。 面接も色々家族のことは大丈夫か等と突っ込まれるが,面接で全然上がらない質なので 笑顔できっちり受け答え。しかし世の中そんなに甘いわけが無く,しっかり落ちた。 発表当日は保育園の保育参加日だったりしたので見に行ってもらう。帰宅すると、 留守電話に「いいオニさんはいませんでした・・・」とひっそりとした伝言があって 静かにがっかりしつつも,まあそんなに甘いわけはないしなと納得。

'97二次試験:後期

後期は論文と面接のみ。つまりセンターの成績がぐっと良くなければまずダメ。と言うことは まず見込みはないが,論文のテーマは面白くて熱心に書いて帰った。落ちた。 発表の日は所用により鹿児島の離島にいた。テレホンサービスで合格者番号を聞いて う〜んやっぱりないかあ。と確認。帰宅してから発表を見に行くと,前期後期の各科の発表が 小さな板に張り付けられてテニスコートの金網にくくりつけられていて寂しそうだった。 合格発表の看板って普通もっと大きく作ってばーんと立てるもんじゃないんだろうか。 人数が少ないからだろうけど雰囲気が盛り上がらないなぁ,などと余計なことを考える。 振り向くとそこには実験動物の供養塔があって、ほほ〜やはり違いますねえと感心した。


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