++ ファースト・プレゼント ++






自分を照らしている光。
この場所、この室内を照らしている光。
その光を反射、屈折させている約42度のお湯。
そのお湯につかり、シアンはポン太と一緒に、湯気の立ちこめる頭上を見上げていた。
そんな、安らぎの時間に浸って数分が経過したところで、シアンが、
「そろそろ上がろっか、ポン太」
「みぅ!」
ポン太は、お湯の入った洗面器から出ると、シアンと共に、風呂場から洗面所へと出
ていった。
シアンは、用意されていたタオルを2枚手に取ると、片方をポン太に渡す。
「はい、ちゃんと拭かないと風邪ひくよ」
「みぃ」
ポン太は、体を拭き始めた。
シアンは、最初に髪を拭き、次に体を拭いた。そして、服を着ようとする。が、
「あ・・・!服持ってくるの忘れちゃった・・・」
そこには下着しかなかった。
着るつもりだった服は、シアンのベッドの上に放置されたままだろう。
シアンは、洗濯機の中に今日着ていた服を入れたのを思い出したが、せっかく風呂に
入ったのに、わざわざ汚れた服を再び着ようなどとは思わなかった。
とすると、残った手は、
「ポン太お願い、わたしの服取ってきてくれる?」
「みぅ!」
ポン太は頷くと、タオルを洗濯機の中に入れ、洗面所から出ていった。
シアンは、冷えるといけないので、大きめのタオルを出して体に巻いておいた。


「あー、くそっ!また負けた!!」
八満は、テレビに向かって、近くにあった雑誌を投げつけると、そのままテレビと
ゲームの電源を切った。
そして、寝ころんで机の上の置き時計を見ようとするが、死角になって見えなかった
ので、近くに転がっていた腕時計を見た。
時計は、短針が10、長針が12を指していた。つまり十時だった。
「もう3時間もやってんのか・・・そろそろ、風呂入るか」
八満は起きあがると、部屋の電気を消し、廊下に出て階段を下りた。
と、ちょうどポン太が上がってきた。
八満は立ち止まり、
「お、ポン太。もう上がったのか?」
「みぅ」
ポン太は返事をしてから、シアンの部屋に向かった。
八満は、ポン太の返事を聞くと、再び階段を下り始めた。
そして、洗面所に向かう。洗面所のドアは閉まっていたが、いつもその状態なので、
八満は気にせずドアを開いた。


挿し絵(82K)







ガララララ・・・
洗面所のドアが、ローラーの回る音を響かせながら開いた。
「あ、ポン太、早かった・・ね・・・・?」
「あれ?」
シアンと、扉を開けた誰かが声を上げた。
ポン太は「みぅ」とか「みぃ」しか話せない。
つまり、ドアを開けたのはポン太ではなかった。
では誰だろう?
答えはすぐに知れた。
入り口の側に立っている者の顔と、シアンのよく知っている顔が見事に重なった、
その瞬間。
「っ、きゃああああ!!!」
「わあああああ!!」
二人はほぼ同時に叫ぶと、シアンは風呂場へ、八満はドアを閉めて外へ出ていった。
すぐさまシアンが言う。
「ちょっと!なんであんたが入って来るのよ!?」
八満はドアの側の壁に寄りかかり、
「ポン太が上がってたから、もういいと思ったんだよ!!だいたいなんなんだよ、
その格好は!?」
「服忘れたのよ・・・って、あんた知ってたんじゃないの!!?」
八満は赤面して、
「んなわけあるか!!!」
「あんたの言う事なんて、信じれないわよ!!」
「なんだと!?だれが好きこのんで覗いたりするかよ!!こっちの方が迷惑だ!!」
「―――!」
「――!」
それから数分の間、その付近一帯に、罵声、否定、肯定、付加疑問など、さまざまな
言葉が響きわたった。
それでも両親が出てこない、あるいは気付かなかった事には、不思議と思うより他は
なかったが、今の八満たちには、それに気付く余裕すらなかった。
少したって、叫ぶネタも尽きかけたところで、ポン太がシアンの服を持って下りてきた。
「お、ポン太か。おい、シアン!!ポン太が服持ってきたぞ!!」
「分かったから、どこか行っててよ!!」
「へいへい、っと」
八満は、先程の口論でのどが渇いたので、台所にお茶を飲みに行った。
その日、それからはなんとなく気まずくなって、二人とも一言も口を聞かなかった。



翌朝。
八満はいつも開けっ放しの入り口から、2−Dの教室に入った。
いつもの事ながら、教室には、もうほとんどの生徒達がいた。
「おーっす」
「おはよー」
「はよー」
八満が言うと、声がまばらに帰ってきた。
八満は、肩に掛けていたバッグを下ろし、自分の使い慣れた席に着いた。机には、特に
それぞれ特徴があるわけではないので、知らない間に換えられても気付かないだろう。
そんな意味のないことを考えていると、三太と岡本がやって来た。三太の手にはトラ
ンプが握ってある。ポーカーをしようと誘いに来たのだろう。
「おっす、八満」
「おう」
「なあ、シアンちゃんとポン太は?」
今一番聞かれたくないことを、こいつらは鋭く聞いてくる。
そんな事を思いながら八満は、
「知らねーよ、後から来てんだろ」
「またケンカしたのか?」
「したくてしてんじゃねーよ」
「でもいいよなー、一緒に暮らしてて」
「どこがいいんだよ?勝手に変な生き物の親させられて、勝手に居候決め込んで家に
来やがって、毎日毎日殴って俺が全部悪いみたいに言うんだぞ?」
「だってそうじゃん」
きっぱりと言われて、多少耳が痛かったが、八満は無視して続けた。
「そんな迷惑きわまりない暴力女が同じ家に居てみろ。きっとストレスで過労死して
・・・どした?」
八満は、三太達の視線が、自分ではなく自分の後方に言っていることに気付いた。そ
れと同時に、もの凄い殺気にも似た空気の流れを感じた。
「誰かいるのか・・・って、シアン!!?」
その時、八満は確かに、シアンのいる空間に殺気に満ちたオーラを見た。
ふと気付いたが、三太達はすでに退散して、いなくなっていた。まあ、いつものこと
であるから、どうでもいいことではあるが。
シアンの後ろにいるポン太と、教室内の生徒達は、いつものケンカだと思ったらし
く、あえて気にしてはいないようだった。
だが、八満の目に映っているシアンは、なんというか、殺る気満々といった感じだっ
た。
命の危険を感じた八満は、なんとか取り繕うとして、
「あー、今のはだな、その、ちょっとした冗談というか、俺の素直な心が・・・じゃ
なくて、つまりそのって、ちょっとシアンさん!?」
言い訳のようなことを言っている八満を無視して、シアンは冷然と、八満の方に歩み
だし、そして、通り過ぎてしまった。
「・・・あれ?」
八満は、拍子抜けして言った。
そして思う。
(・・・あいつ、やっぱ昨日のこと気にしてんのか?)
気にしない理由もなかった。
八満は、このぎすぎすした雰囲気を、和らげようとして、
(べ、別に仲直りしたいとか、そんなんじゃないぞ)
と、心の中で自分に言い訳を言いながら、
「おい、シア――」
「なあ、シアンちゃん、なんか元気ないけど、何かあったのか?」
傍観者から再び友人に戻った三太が言った。
そのせいで、八満の言葉は遮られてしまった。
とりあえず、八満は教室の隅に行き、
「別に何もねーよ」
一応小声でしゃべる。
昨日のことなど話したら、何をされるか分からない。
と、今度は岡本が言ってきた。
「でもさあ、明らかにいつもと様子が違うじゃん・・・やっぱお前、何か隠してるだ
ろ?」
何故か今日に限って鋭いことを言う。
これ以上詮索されたらまずい。八満は、そう思い、
「と、とにかく、なんでもねーって。あいつが勝手に機嫌悪くしてるだけだよ。もう
いいだろ、じゃあな」
「あ、おい、八満?」
八満は、一方的に話を打ち切って、その場を後にした。


「ったく、あいつらなんで今日に限って、あんなに鋭いんだよ?」
八満は、あれから一度廊下に出て、もう一つのドアから、再び教室に入っていた。
そして、ある生徒の机の前に行く。
「あれ、八満?何か用?」
「えーっと・・・ここじゃ話しにくいから、とりあえず屋上まで来てくれよ」
「あ、うん、いいけど・・・」
千津は、多少どころか、かなりドキドキしながら八満について行った。
千津の後ろからは、いつもの二人が「千津、がんばって!」などといった事を言って
いた。
千津は、それに気付くなり慌てて人差し指を口元に持っていった。
そして、八満に気付かれないように祈っていた。
八満は、全く気付いていないようだったが。


人気のない、殺風景な屋上。
風が、八満達の髪を撫でる。
はっきりいって、寒い。
そんな中で、千津が言った。
「それで、何なの?」
八満は、千津の五歩先で立ち止まり、
「・・・今度の土曜さ、空いてるか?」
八満の唐突な質問を、千津は、自分を俗にいう、デートに誘っているいると解釈した。
しかし、確信が持てなかったので、
「どうして?」
「いや、もし空いてたらさ、買い物に付き合ってくれねえ?」
やはりこれは、デートの誘いなのだろうか?
もしそうならば、いや、そうでないとしても、千津は即OKするつもりだった。
しかし、あいにくその日は友達と遊ぶ約束をしていた。が、知らん。
千津は、心の中で友達に謝ると、
「うん、いいわよ。でも、何買うの?」
「まあ、それは行ってからな。じゃあ、11時半くらいに迎えに行くから」
「うん!」
千津は、満面に笑みを浮かべて言った。



日曜日。
雲一つない快晴だった。
風もない、すがすがしい天気だった。
午前11時20分。
八満は、座って靴のひもを結んでいた。
ポン太は、まだ眠っているので、八満のパーカーのフードに入れられていた。
左足を終えたところで、後ろから母が言ってきた。
「あら、八満。どこか出かけるの?」
八満は、体の重心を右側に変えて、右足の靴ひもを結びながら、
「ほら、あれ買いに行くって言っただろ?」
「あ、そうだったわね。確か、相田さんに選んでもらうんでしょ?」
「ああ。それより、そっちは大丈夫かよ?」
「当たり前でしょ」
「うっし、と。じゃあ、行って来る」
「行ってらっしゃい、気をつけるのよ!」
母は、ドアの向こうに消えた八満の背中に向けて言った。
そして、洗い物の残りを済ませてしまおうと思い、台所に向かう。
と、ちょうどシアンが、スリッパをぱたぱたといわせながら下りてきていた。
シアンは、オフホワイトのアンサンブルにスカートといった姿だった。
「おはようございます、おば様」
「おはよう、シアンちゃん」
「あの、八満は・・・・出かけたんですか?」
シアンは、靴が二、三足置いてある玄関を見て言った。
「ええ、相田さんと出かけるとか言ってたわよ」
「そ、そうですか・・・」
母は、そのまま台所に行ってしまったが、シアンはその場に立ちすくんでいた。
シアンの頭には、『相田』という二文字がこびりつき、どうしても振り切ることが
出来なかった。
少しして、シアンは決心して言った。
「おば様、わたしもちょっと出かけてきます」
「気をつけてね」
「はい」
シアンはそう言って、急いで靴を履くと、玄関から出ていった。



「おーい、相田!」
八満が手を振って言った。
千津もそれに対して手を振った。
「おはよう、八満。ポン太ちゃんは、寝てるのね」
「ああ、いつもなら俺と一緒に寝てる時間だからな。じゃあ、行くか」
八満が言うと、千津は笑顔で答えた。
「うん!」
そして、二人は歩き始めた。
その頃、シアンは息を切らせながら、近くの電柱の陰に隠れていた。
(はぁ・・はぁ・・・いた!でも、どこに行くんだろ?)
シアンは、自分でも分からないが、何故か二人のことが気になって後をつけていった。
(ちがうちがう!わたしは、ポン太が気になるだけよ!)
言い訳を言っても、結局つけることになるのだが。



「それで、どこに行くの?」
「いろいろな」
今、八満達は、舗装されて間もない歩道を歩いている。
もう少し歩けば、商店街が見えてくる。
「何買うの?」
「・・・女子ってさあ、何貰ったら喜ぶんだ?」
「え!?」
唐突に聞かれ、千津は少し戸惑った。
「いや、理由は内緒なんだけど、とりあえず、お前なら何貰ったら嬉しい?」
八満がくれるのなら、何でも嬉しい。
それはあえて言わず、千津は、
「まあ、アクセサリーとかかな」
「そうか、ついでにさ、選んでくれねえ?」
「いいけど、でも買ってどうするの?」
「だから、内緒だって」
「ふうん・・・ま、いっか。そのかわりお昼くらいおごってよ?」
千津は、冗談のつもりで言ってみた。
八満が、人に何かをおごったりするはずがない。千津は、そう思っていた。が、
「ハンバーガーくらいなら別にいいぞ」
「・・・・え!?」
思考が停止した千津に構わず、八満は続けた。
「一応礼くらいしとかなきゃな。それにどうせ、岡本達からポーカーでふんだくった
金だし」
「あ、そ、そうなの」
適当に相づちを打って気がつくと、もう商店街の前まで来ていた。
(雨とか降らないよね?こんなに晴れてるし)
そんな事を思いながら、千津達は商店街に入っていった。



それから特にどうということはなかった。
普通に昼食をとり、アクセサリーなどを売っている露店を見て回ったりしていた。
それだけでも、シアンにとっては二人と一匹はすごく楽しそうに見えた。
そう、まるで恋人同士のようだった。
シアンは、八満達の後をつけているうちに、十数分に一度くらいの割合で、
(いつもなら、わたしがあそこにいたんだよね・・・)
と、八満の横を歩く千津を見て思っていた。
そう思っているうちに、シアンの頭に、ある光景が浮かんできた。
それは、以前ドラマで見た、若い男女が一緒に買い物などを楽しむ、いわゆるデート
という光景だった。
今のシアンには、八満達もそれと同じように見えた。誰にしても、少しも疑うことな
く、そう見えるだろう。
そんな事を考えていると、疎外感、あるいは孤独感といった感情が、シアンの心の中
に膨れ上がってきた。
「・・もう、帰ろう・・・」
シアンは呟くと、後をつけるのをやめて、遠回りして帰っていった。



千津を家まで送って、八満は家路についていた。
もう日も沈みかけている。
八満は、腕時計に目を落とした。
「やっべー、もう5時じゃん。結構遊んだからなあ・・・っと、それより急がねえと」
八満は、綺麗にラッピングされた小箱を大事そうに持って、足早に帰っていった。



シアンは、通りかかった公園の時計を見た。まだ、5時半だというのに、日はもうほ
とんど沈んでいる。 電柱の蛍光灯が、チカチカと点滅し始めている。
「・・・ちょっと、寄り道し過ぎちゃったな・・・」
シアンは、あれから家へはまっすぐに帰らず、商店街をあてもなくぶらぶらしていた
のだ。
「・・・急がなきゃ」
しかし、シアンの足は、シアンの命令を無視して、そのままの歩調で歩き続けた。
シアンは頭のどこかで、家に帰ることを拒絶していた。



たとえ帰りたくなくても、歩いていれば、いつかは帰り着くことになる。
そんなことは分かっていた。
しかし、自分の足は、止まってはくれなかった。
もう何時間も、ずっと同じ歩調で歩き続けている。
シアンは考えていた。
やはり自分は、八満にとって厄介者でしかないのだろうか?
自分さえいなければ、八満はいつも今日のように千津と会ったりできるのだろう。
そんな考えを反すうしているうちに、いつの間にか家についていた。
シアンは、少しためらいがちに玄関のドアを開けた。
「ただいま・・・あれ?」
家の中は静まり返っていた。
電気もついていない。
シアンは、勘だけを頼りに今の扉を開け、壁を探って明かりをつけた。その次の瞬
間。
『シアンちゃん、誕生日おめでとー!!』
そんな声と共に、クラッカーが鳴り響き、赤、青、黄、さまざまな色のテープが、シ
アンの頭や肩に落ちてきた。
「え・・・?」
シアンは状況が全く読めず、間の抜けた声を上げた。
一度瞬きをして、部屋の中を見てみる。
どうしても目に入ってきたのは、テーブルの上にあるケーキと、それを囲むようにし
て並べてある美味しそうな料理だった。
「これって・・・」
シアンが言うと、母が言ってきた。
「あらやだ、忘れてたの?今日はシアンちゃんの誕生日でしょ?」
言われて気付く。
「今日って・・・あ!」
今度は父が言ってきた。
「いやー、シアンちゃんがまっすぐこっちに来てくれてよかったよ」
「ったく、もし通り過ぎてたらどうするつもりだったんだよ?」
八満が言った。
シアンはケーキをもう一度よく見てみた。するとそこには、英語の筆記体で『ハッ
ピーバースデー・シアン』と、金文字で書かれてある四角いチョコレートがあった。
「おどろいた?シアンちゃん」
「あ、はい。でもなんで、今日が誕生日だって知ってるんですか?」
シアンが聞くと、八満が言ってきた。
「この間、エルが家出して来たろ?その時聞いといたんだよ」
「じゃあ、八満が?」
「ん、まあな。それよりほら、これ」
八満は、綺麗にリボンでラッピングされた小包を取り出して、シアンに差し出した。
「みんなからな。洋服が一人一着ずつ入ってる」
シアンは小包を受け取ると、ぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう、みんな」
「さて、プレゼントも渡したところで、ご飯にしましょう!」
母が仕切り直して言った。
「はい!」
シアンは、包みを脇に置いて、はしを手にした。


誕生日のプレゼントとして貰った洋服は、どれも以前、シアンがカタログを見てほし
がっていた物だった。おそらく、それを誰かが知っていて、わざわざこうしてプレゼ
ントしてくれたのだろう。
シアンは、一つ一つしわが寄らないようにして、洋服ダンスにしまった。
そして、もう寝ようと思い、ベッドに入り、上――電灯の所――から降りてきている
ひもを引っ張ろうとした、その時だった。
突然、ドアが二回ほどノックされた。
「俺だけど、ちょっといいか?」
「八満?どうぞ」
シアンが言うと、扉が開いて、八満が入ってきた。
「あ、ごめん。もう寝るところだったか?」
八満は、ベッドに入っているシアンを見て言った。
それを聞いて、シアンはベッドから足を出し、ちょうどベッドに座っている体勢に
なった。
「べつにいいよ、でもどうしたの?」
「この間のことだけど、謝ろうと思ってさ」
「この間・・・ああ!あれならもう気にしてないよ」
「・・・でも一応謝っとく。悪かったな」
「・・・うん」
シアンの返事を聞くと、八満はズボンのポケットから綺麗にラッピングされた縦長の
小箱を取り出した。
「これ・・・今日買ってきたんだ、やるよ」
八満は、シアンと目が合わないようにして差し出した。
「わたしに?」
シアンは受け取って言った。
「まあ、相田が選んだから気に入るかどうか分からないけどな」
シアンは、はっと気付いた。
「そのために相田さんと出かけたの!?」
「ああ。それがどうかしたか?」
「べ、別に!」
完璧に勘違いしていたらしい。
八満は、シアンのために、わざわざ千津と出かけていたらしい。
それを、デートなどと考えていた自分が恥ずかしくなってきた。
シアンは、包装をといた。
中の箱からは、しゃれたアナログの時計が出てきた。
「わあ!」
シアンは、思わず声を上げた。
「お前時計持ってなかったからさ。どうな感じだ?」
「すっごくいい!!」
「よかった、気に入らなかったらどうしようかと思ってたんだ。あ、そうそう、それ
光で充電できるらしいから、金かからなくていいぞ」
八満は得意げに言った。
シアンは、くすっと笑って、
「八満らしいね」
「そうか?」
「うん」
「・・・まあ、誕生日おめでとう、シアン」
「ありがとう、八満」
シアンの笑顔は、八満が今までに見た中で一番明るいものだった。








またもやむりやり奪い取ってしまいました 〜〜〜!!! (^_^*)/
誕生日記念〜〜〜!!!この年になって、久々のウレシイ記念です〜♪♪
(↓以下、お礼メールより)

いや〜〜〜〜〜、やっぱりお風呂場でのニアミスは漢(←オトコと読んで
ください)のロマン!!ですよ〜〜〜vvv!!!(漢なのか私!?…イヤ、
このシーンの為なら漢にならずにはいられませんとも!!ええ!!!)
も、萌え〜〜〜!!!
私も、実はそんなシーンを妄想してひそかに萌えてたので超ウレシイっす
〜〜〜!!! (^_^*)o
だってだって、一緒に住んでたら絶対あるって!!(←願望も入ってますが)
…私にも、「うっかりトイレのドア開けたら親父が入ってた」(吐血)という
えらくイヤな感じのニアミスが何度も……こんなんイヤ……(倒死)。
ワタシもシアンとお風呂場でニアミスしたい〜〜〜!!! o(>_<*)9〜☆
(そのあと殴られそうですけど…)
……ゼエゼエ。すいません、思わず理性が…。
後半もさりげにラブってますし〜〜〜vvv なんか、千津とシアン、いつもと
立場が逆で(笑)ジェラシー状態なシアンって新鮮かも……
ラストの方の、幸せそうなシアンが嬉しいです〜〜〜!!vvv

…しかし八満、その後千津へのお礼はちゃんと出来たのでしょーか… (^_^;)
それにしても、お風呂場でのニアミスのあとの『罵声、否定、肯定、付加
疑問など、さまざまな』やりとり、むっちゃ聞きたいです〜〜〜ッ!!(笑)

優さん、どうも有難うございます〜〜〜〜〜!!!(^_^*)/





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