2004.07.28
誤字等No.099
Google検索結果 2004/07/28 アボガド：47,100件
今回は、「太田」さんからの投稿を元ネタにしています。
「森のバター」とも呼ばれる果実、「アボカド」。
「栄養価の高さ」は広く知られていますが、その独特の食感や青臭さから、かなり好き嫌いの分かれる食材です。
この「アボカド」、「アボガド」だと思っている人が、非常に多いです。
果たしてどのくらい多いのか、Googleで調べてみましょう。
アボカド：44,300件
アボガド：47,100件
予想通り、「アボガド」が過半数を獲得しました。
英語でのつづりは、「avocado」。
明らかに、「カ」です。どう見ても、「ガ」にはなりません。
フランス料理の素材として使われることもありますから、ついでにフランス語も見てみましょう。
つづりは「avocat」。発音は「アヴォカ」といったところでしょうか。
どちらにしても、「ガ」にはなり得ません。
それなのに、これほど多くの人が「ガ」だと思ってしまうのは、なぜなのでしょうか。
一説には、高校で習う「アボガドロ数」が関係しているといいますが…まぁ、冗談でしょう。
それほど大きな影響になるとも思えません。
これだけ普及しているということは、日本人にとっては「アボカド」よりも「アボガド」の方が発音しやすいのでしょうか。
現象としては、「ギプス」が「ギブス」になる変化と似ています。
これらの言葉に関しては、どうやら「濁音を連続させたくなる」心理が働いているのではないか、と考えることができます。
しかし、少なくとも筆者にとっては、「アボカド」と「アボガド」の発音のしやすさに、差はほとんど感じられません。
むしろ、「アボカド」の方が楽なくらいです。
このあたりの感覚は、住んでいる地方が違うと事情も変わるのかもしれません。
検索結果を見ていると、興味深いことに気付きます。
それは、「アボカド(アボガド)」など、両方の表記をわざわざ並べて書いているページが多いことです。
ざっと見た限りでは、「どちらでも良い」ものとして扱われていることが大半のようです。
その中に、正しくは「アボカド」であることを認識した上で、あえて「アボガド」を併記しているというサイトがありました。
その理由も記載してあります。
曰く、「アボガド」だと思い込んでいる人は非常に多いので、サイト内の表記を「アボカド」に統一してしまうと、「アボガド」で検索する人に見つけてもらえなくなる、だそうです。
なるほど。一理あります。
日本人の中に「アボガド」がこれほど浸透している以上、その現実に迎合することは賢い選択と言えるでしょう。
ただしその場合、「アボガド」で必要な情報にたどり着けた人は、そのまま自分の「思い込み」を堅固にしてしまうおそれがあります。
他にも意図的に「二つの表記」を併用しているサイトがあるのなら、その理由を分かりやすく明記しておくことが親切かもしれません。
さて、日本人が「濁音」や「半濁音」に弱いことは、これまでにも何度かご紹介してきました。
であれば、「アボカド」の「カ」だけが間違えられているなんて、そんなはずはありません。
末尾の「ド」から濁点を落とした「アボカト」、「ボ」が半濁音になった「アポカド」などなど、いくつもの亜種の実在を確認できました。
さすがに「アホカド」とまでなると、「ギャグで書いている」と思いたいのですが…
さらに、「v」の字にこだわって、「ヴォ」と書きたがる人がいるのもまた事実。
自信たっぷりに「アヴォガド」などと表記しているページが結構ありました。
「ヴォ」自体は間違いとは言いませんが、「vo」の部分は意識しながら「ca」を無視する神経は、いまひとつ理解できません。
ひどいのになると、「アヴォガト」とまで変化しています。
もともとの外来語である「アボカド」と比べると、「ア」しか一致していません。
そこまで日本語が嫌いなのだったら、いっそ英語ででも書いてみたらいかがでしょうか。
ところで、農林水産省の「統計情報」では「アボガド」が頻出します。
100%ではありませんが、明らかに「アボカド」よりも多数派となっています。
「avocadoはアボガドと表記すべし」という内規でもあるのでしょうか。
管轄の行政機関からしてこれでは、「アボガド」が広く使われているのも、やむを得ない状況ですね。
困ったものです。
日本人とは、かくも「外国語の発音」に弱いのでしょうか。
このような「外国語の発音」が原因と思われる誤字等の品種を、「外誤科（がいごか）」と命名しました。
アボガト：704件
アボカト：111件
アポガド：59件
アポガト：2件
アポカド：60件
アポカト：2件
アヴォガド：240件
アヴォガト：4件
アヴォカト：6件
abogado：1,660件
avogado：57件
