「無限の住人」の登場人物の名前について。

どうせキャラクターに名前をつけるならもうちょっとモジってつければいのに…。ということで元ネタ集。

宗理
北斎が壮年期(35歳〜40歳くらい)に使用してた画号。宗理先生が幕府の隠密というネタは北斎隠密説が元ネタだと思う。北斎隠密説は高橋克彦の小説「北斎殺人事件」にくわしく載っている。ちなみに宗理先生が初登場のとき描いている絵は北斎の最晩年の肉筆画。コミックス4巻の最後にある、おみくじのページで宗理先生が詠っている「ゆく気散じや 夏の原」の歌は北斎の辞世の句「人魂で ゆく気さんじや 夏の原」のことだと思う。

お辰
北斎の次女。北斎の先妻との間に生まれた娘で、北斎が「宗理」の画号を使用していたときは大体6〜14歳くらい。

万次(卍)
北斎が最晩年に使用していた画号。絵を描くときは「卍」、歌を詠むときは「万字」と表記していた。言うまでもないが、仏教用語で「無限」を意味する。

戴斗
北斎が壮年期に使用していた画号。たぶん北斎が「泰斗」をもじってつけた画号だと思う。

百琳
「百淋戴斗」というふうに、画号の一部として使用していた画姓。

偽一
北斎が晩年使用していた画号、「為一」のもじりだと思う。

辰政
(みんな忘れているかもしれんが、1巻だけに登場する万次の妹、お町の夫の名前。)「北斎辰政」というふうに「北斎」という画号の一部として使用していた画号。江戸時代は北斗七星のことを「北辰」と呼んだ事から、それをもじって「北斎辰政」と画号をつけた。北斎の妙見信仰からつけられた画号である。(日蓮宗の妙見菩薩信仰は北斗七星を信仰の対象とする。)

八百比丘尼
(これはさすがに北斎とは何の関係もないが。)伝説上の比丘尼。比丘尼とは尼(もしくは、それを装って各地を旅する娼婦)のこと。八百比丘尼は、伝説上では不老不死で古今東西の話を語り伝える存在。(昔話のストーリーテラーの役割を示している。)