浮世絵ブックガイド

当初は主要参考文献のつもりで書いてたんですが、資料を参考にしている割には文章が稚拙ですし、漫画についても書きたくなったので、ブックガイドにしてみました。正直言って本は全然読まないたちなので、ガイドなんざ、おこがましいんですが…。うちにある本の資料整理も兼ねて書いてみました。参考になれば幸いです。
事典
浮世絵鑑賞事典 高橋克彦/講談社文庫/560円
文庫本なのにかなりくわしく浮世絵師ひとりひとりを掘り下げて解説してます。浮世絵の用語についてもくわしくわかりやすく書いてあるので、入門書には最適。

図説 浮世絵入門 稲垣進一・編/河出書房新社/1900円
ちょっと高いですがオールカラーで浮世絵が解説されているので、わかりやすく、眺めているだけでも楽しいです。

浮世絵の鑑賞基礎知識 小林忠・大久保純一/至文堂/3800円
値段が高いのであまり人にはお勧めできません…。情報量が多く、資料として使うのにとても助かってます。うしろについている浮世絵師解説が便利で、マイナーな浮世絵師が誰の弟子なのか調べるときなんかに使っています。

小説
写楽 皆川博子/角川書店/1300円
数年前、放映された角川映画の原作、というかシナリオを小説化したもの。映画では省かれてますが、歌舞伎のことや浮世絵のことにかなり深く掘り下げて書かれています。

みだら英泉 皆川博子/新潮社/1240円
浮世絵の小説の中ではこれがいちばん好きです。浮世絵師、英泉と3人の妹と長次郎(為永春水)の人間関係が上手く描かれてます。残念ながらというか、当然というか、タイトルほど淫らではありません(笑)。

HOKUSAI 西澤裕子/文芸春秋/1700円
変な小説。北斎は外国人だし、お栄さんは外国まで行っちゃうし。内容を鵜呑みにしない方だけにしか勧められません。これ読んで「北斎ってこんな人だったんだ。」って思う人がいたらどうしよう(笑)。

写楽殺人事件 高橋克彦/講談社文庫/580円
第29回江戸川乱歩賞受賞作。現代の浮世絵研究家が写楽の贋作事件に関わる話。話の前半で写楽別人説について、かなりくわしく説明されています。この作品で高橋氏は「写楽秋田蘭画家説」をとなえてらしたが、最近になって「斎藤十郎兵衛説」に変更なさった。

北斎殺人事件 高橋克彦/講談社文庫/640円
日本推理作家協会受賞作。一応、登場人物などは「写楽殺人事件」続編に当たります。この作品の中で説明されている北斎隠密説が興味深いです。続編に「広重殺人事件」「歌麿殺贋事件」があるのですが、まだ読んでないので(笑)ここでは紹介しません。

漫画
写楽 大竹直子 原作・皆川博子/角川書店/1100円
上で紹介した小説「写楽」の漫画版です。どちらかというと小説寄りのストーリーですが、映画版のストーリーも混じってます。絵がきれい。写楽がちょっとホモくさいです(笑)。

北斎 画・沢田徹 解説・永田生滋/平凡社/980円
絵が上手い人だなあ。青年誌で描いてらしたんでしょうか。かなり史実に基づいた話になってます。北斎の漫画で本間北曜が登場するのは多分この漫画だけでしょう。やはり永田生滋さんが関わってらっしゃるからだろうか…。(この方の本には北曜の名前がよく出てくる。)

葛飾北斎 マンガ・アンベ幸 監修・小和田哲男/草土文化/1400円
「大江戸パワフル人物伝」という学習漫画(笑)のシリーズもののうちのひとつ。他にも「平賀源内」や「からくり儀右衛門」「シーボルトお稲」などマニアックな人物を取り上げている。この漫画だと、北斎の弟子がちゃんと登場してます。

百日紅 杉浦日向子/ちくま文庫/
NHKの人気番組「お江戸でござる」で解説をしてらっしゃる杉浦日向子女史の漫画。北斎と娘のお栄、居候の善次郎(英泉)の生活を描いたもの。かなりの傑作だと思います。漫画のなかではこれがいちばん好き。
杉浦日向子作品解説。

北斎 石ノ森章太郎/世界文化社/全B巻・各980円
この漫画をみつけた時は、あの石ノ森さんが北斎の漫画を描いてるなんてッ、と思ったんですが、考えてみれば「佐竹と市の捕物帳」で歌麿が写楽になる話を描いてらっしゃるんだからそんなに驚くことではないのかもしれませんな。この単行本は大きいし、高いんですが、最近、文庫本で愛蔵版(前・後編)が出てました。出版社はわかりませんが、こちらの方が手に入れやすいかな。

無限の住人 沙村広明/講談社/@〜F巻・各520円
てへへ。関係ないんですけどシュミでいれてしまいました。この漫画の登場人物の名前のほとんどが北斎の画号からとられてるんですよ。思わずチェックを入れてしまいました。ヒマな人は探してみて下さい。

その他
浮世絵ミステリーゾーン 高橋克彦/講談社文庫/480円
浮世絵にまつわるエッセイ。現代人と江戸人の浮世絵師の評価の違いなどがについて書かれていて、かなり興味深い。

浮世絵探検 高橋克彦/岩波書店/1500円
浮世絵に関する話をする対談集のような形式になってます。横尾忠則とか荒俣宏とか、対談の相手がかなり濃いです。