旧公職選挙法(中選挙区制)による衆議院議員選挙区
1993年7月18日の総選挙までは,衆議院議員の選挙は中選挙区制で実施されていました。1950(昭和25)年5月に施行された(旧)公職選挙法によるものです。
中選挙区制は,各都道府県をいくつかの選挙区に分割し(小さい県の場合は全県1区),それぞれの人口規模に応じて3人〜5人の議員を選出するというシステムです。
すべての選挙区から1人だけを選出する小選挙区制と,全国ないしは地方レベルの大きな選挙区から複数の議員を選出する大選挙区制の中間的な性格を持つので「中選挙区制」とよばれます(用語の定義としては,大選挙区制とは選挙区の大小にかかわりなく2人以上の議員を選出するシステムをさします。したがって,日本の中選挙区制は分類の上では大選挙区制に含まれます。
ただし,ここで「選挙区の大小」というのは,絶対的な面積の大小ではありません。日本の市町村議会議員の選挙ではどこも全域を1選挙区としてそこから多数の議員を選出します(政令指定都市では区ごとに多数の議員を選出しますが)。したがって,これも大選挙区制に分類されるのです。
選挙区の設定に際しては,それぞれの人口規模と地域的なまとまりとが考慮されているようです。この選挙区割りは,1925(大正14)年に成立した普通選挙法で導入された中選挙区制による区割りをもとに,新憲法(「日本国憲法」)の施行に備えて1947(昭和22)年4月に行われた戦後第2回の総選挙(第23回)のために編成された中選挙区制による区割りをそのまま継承したものです(1946・昭和21年4月に行われた戦後第1回の総選挙(第22回)のみは大選挙区制で実施されました)。
参 照 :衆議院議員選挙制度の変遷
各選挙区の定数配分も,1947(昭和22)年の中選挙区制再導入時のものがそのまま適用されました。つまり,1947年当時の人口分布によるものです。しかし,その後の高度経済成長にともなう激しい人口移動の結果,実際の人口規模と議員定数との間に大きな不均衡が生じてきました。公職選挙法では,5年ごとに行われる国勢調査の結果に基づいて定数の再配分を行うと規定されていたのですが,現実にはそのような全面的な見直しが行われることはなく,数度にわたって部分的な定数是正が行われるにとどまりました。
1964(昭和39)年7月および1975(昭和50)年7月の公職選挙法改正では,特に人口増加の著しい大都市部の選挙区について選挙区の分割が行われ,それに前後して数度にわたって行われた定数是正では,公職選挙法本来の規定の範囲を超えて2つの6人区(北海道第1区・福岡県第1区)といくつかの2人区(東京都第8区ほか)とが設定されています。
中選挙区制で行われた最後の1993年総選挙に先立つ定数是正では,1953(昭和28)年の「本土復帰」以来“暫定的”に設置されていた奄美群島区が鹿児島県第1区に統合されて,奄美群島区のみに例外的に存在していた定数1の小選挙区も解消しました(でも,次の総選挙では全国が小選挙区になってしまうのですが...)。
ここに掲げた区割り図は,この1993年7月の総選挙についてのものです。
区割り図は,8地方区分(ただし,中国地方と四国地方は同一区分とした)ごとに表示してあります。
下の地図の該当部分,または青字の部分を
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- 北海道: 北海道
- 東北地方:
青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
- 関東地方:
茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県
- 中部地方:
新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県
- 近畿地方:
三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
- 中国・四国地方
鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県
- 九州地方:
福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県
区割り一覧表
(旧公職選挙法・別表第1)
旧中選挙区/現行小選挙区 市区町村別対照表
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2000. 6.24
ISIDA Satosi