乃木夕菜様よりの投稿3

 気サイト「司法試験受験生の妻」の作者、乃木夕菜様から3度目の投稿を頂きました。前回の投稿では御主人の「おくしゃま、だいしゅき〜」ネタでトホ妻帝国に一大センセーションを巻き起こした夕菜様でございますが、今回はトホ自分ネタ。13年前のはるかな記憶をたどって、ついに今ここに告白の時を…と申すほどのことでもないのですが…。

 れはもう13年(ええっ、そんな に前なのか。自分で書いてビックリ)も前のこと。
 私が運転免許証 を取得したのは、20歳になる直前でした。
19歳――大学1年生の春休 みから自動車教習所に通い始め、まるっと5ヶ月(私の誕生日は9月です)。いやもう散財でありました。私より後から入所した大学の後輩が、私よりハルカ先に卒業し 、「先輩まだなんですかぁ?」などとナマイキをぬかし、悔しい思いもしました…。


 
んな、ツライ教習所通いのある日。
 教習に行く前に 、友人の誕生日祝いを選ぼうと、デパートに立ち寄りました。他ならぬ20歳の誕生日です。奮発して、大人っぽい、洒落たものをプレゼントしようと考え、香水売場に行 きました。
 ブランドには全然無知な私ではありますが、シャネル、ディオール、イブ・サンローラン、アラミス…美しい形の小瓶達と素晴らしい香りの数々を、あれでもない、これでもないと散々悩み、遅刻ギリギリの時間になってようやくひとつ選んで、配送手続きを終えてから、教習所に行ったのです。


 
習車は確かチェイサー。教官は、ちょっと頭部の涼しいおじさんでした。その時 は、気付かなかったんですけど…だってもう、鼻がバカになってて、何の匂いも感じ なくなってましたから…でも、私は教習車に乗り込むほんの30分前、あらゆる種類の 香水を、自分の腕や首筋などにつけて試していたのです。梅雨の合間のよく晴れた日 でした。少し汗ばむ陽気。湿度はちょっと高めで。
密閉された車内。 充満する香水の香り。教官はとてもツライ思いをしたことだろうと想像するのです。 何もおっしゃられませんでしたけれど。


 
の日、ハンコがもらえたか どうかは、覚えていません。

 「う?何だ?ずいぶん香水キツくつけてるなこの女子大生。教習所来るのに何でこんな香水を…う?ひょっとしてオレに会うためにオシャレしてきたのか?いやそりゃマズいよネエちゃん。オレぁこんな頭もハゲ始めたオッサンだ。美人女子大生と教官の危険な恋なんて…で、でも、こん な香水つけて迫られたらオレぁ…うう、ゴホゴホ、香水がキツすぎて頭がクラクラしてきた…え?もう教習終わり?やっべえ何も見てなかったよオレ。うう…しょうがね ぇからまぁハンコ押しといてやっか…ぽちっ」

 …と、まぁ、その時の教官の心の内を推測するとこんな感じではなかったかと思われるのですが…。自動車教習所時代のことを思い出せばどなたも「涙のS字・クランク」「今でも憎いあの教官」といった思い出の一つや二つはあるものでございましょう。ちなみにトホ妻は教習所の運転シミュレーター画面上で人をひき殺した経験を持つらしゅうございますが、しかし香水で教官を惑わした思い出というのはワタクシもあまり聞いたことがございません。

 タクシはと申しますと、学生時代に山形県米沢市での合宿教習で一時間も“落とす”ことなくタッタ16泊17日間で教習所を卒業してしまいました。地元出身・ズーズー弁の教官相手に田舎のすいた道を米沢の気候や風土について話しながらの路上教習、といった具合でございましたから今思えば実に牧歌的な、まるで「新日本紀行」のような教習風景だったと申せましょう。だからこそ、日常的に車を乗りこなす夕菜様と違ってワタクシのような頼りないペーパードライバーが一人増えてしまったのかも知れませぬが…。夕菜様、このたびは投稿ありがとうございました。

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