バリ島トホホ紀行その1. 

朝5時半の大ピンチ!無事に飛べるのか?

 って来ました2001年10月8日。いよいよバリ島に向けて出発の日でございます。過去、海外旅行と言えば格安航空券だけ買って、宿泊場所や遊びは自分で手配するという個人旅行しか経験したことのない我々。しかし今回は初めて大手旅行代理店に申し込み、我々にとっては空前絶後とも言える超高級リゾートホテルに泊まるという旅なのでございます。旅行代理店からは書類だのクーポンだのバッジだのステッカーだのを渡されて、いざ8日を迎えたわけでございます。

 の日は早起きのため、結局ワタクシは徹夜したのですが、真夜中に何気なくテレビをつけてみると何とアフガン空爆開始のニュース。ががーん!何もオレたちの出発の日に始めなくたって…果たして無事に行けるんだろうか?といささか不安になりながらもとりあえず明け方に最後の準備を済ませ、ワレワレは朝5時半に府中駅に辿り着き、成田空港までの長〜い電車の旅をスタートしたのでございました。

 ういう出発の時に「アレ持ったっけ?」「コレ忘れてないよな?」と不安が残るのはどなたも身に覚えのあるところでございましょうが、こういう時に我々はよく「パスポートと航空券とお金さえありゃ何とかなるさ」と開き直って自らを安心させるのでございます。確かにこの3点セットさえあれば、あとはまぁ現地でも何とかなるものでございまして、府中から早朝の京王電車に乗り込んだトホ妻も席に座ると軽い気持ちでこのヒトコトを吐いたのでございました。

トホ妻 「ふう…ま、パスポートとお金さえあればあとは何とかなるわよ」

いわんや「…?…それだけじゃダメじゃん。航空券引換証、持っただろ?」

トホ妻 「え?(ゴソゴソ)…コレでしょ?」

いわんや「(急激に不安になりながら)違う!もっと厚い紙で留守中の連絡先とか書いたヤツだよ!」

トホ妻 「あ?…あっちの方は…置いてきた…」

いわんや?!!」

トホ妻 「(ゴソゴソ…)…持ってこなかったよ…あれ、いるの?」

いわんや「(サー…←血の気が引く音)すぐ降りて取りに戻らなくちゃ!次の駅で降りるぞ!」

 様、信じられますか?「これさえあれば何とかなる」、逆に言えば「これがなきゃ話にならない」という3点セットのうちの一つ、航空券引換証を忘れる人間がおりましょうや?!確かに今回は航空券の現物ではなく「引換証」という紙きれですから間違えやすいと言えば間違えやすいですが…ちゃんと「重要」とデカデカと印刷されたアレを忘れるとは!このことに気が付いたのは府中駅発車直後。ワタクシは隣の駅に着くや、トホ妻の手を引くようにして今乗ったばかりの電車を降りたのでございます。

 今はテロの影響で搭乗手続きに時間もかかるので、とにかく早めに成田に来ていろと代理店から念を押されていた我々。多少余裕を持って家を出たとは言え、とにかく大急ぎで何とかしなければ。徹夜明けにもかかわらず、メッタに使わない「危機管理脳」の出力を最大にするいわんや。急ぎ足で駅を出ると明け方のガランとした道路を向こうから1台のタクシーがフラフラとやって参ります。アレで一度戻って取って来るしかない!

 局我々はこのタクシーに乗ってまず自宅に戻り、ワタクシが2階に駆け上がって航空券引換証を引っつかんで待たせておいたタクシーに再び飛び乗り、さっき電車に乗った府中駅にふたたび急行したのでございます。この間約20分。いやもうこの20分の間にワタクシは半年分くらいの緊張感を使い果たした気分でございました。再度京王線に乗り込んだのは6時ちょっと前。まぁ時間的には大丈夫とは申せ、未明のアフガン空爆開始の次はトホ妻の致命的忘れ物…ホントに無事に飛び立てるの?

 すがのトホ妻も自分の犯したミスの重大さを認識して、京王線の中やスカイライナーの中ではシュンとしておりましたが、ワタクシも車中ではショックが尾を引いてほとんど虚脱状態。徹夜明けだというのに眠るどころの騒ぎではございません。もしトホ妻が府中駅発車直後にあのセリフを吐かずに、引換証を忘れたことに気付かぬまま成田まで行ってしまっていたら…トホ妻の航空券は発行されなかった…と考えるとゾッとして参ります。

 もあれ成田空港には指定された時間前に到着。チェックインも無事済ませ、搭乗券を手に我々はチャンとJAL725便ジャカルタ経由デンパサール行きの飛行機に乗り込めたのでございました。ぜいぜい…ここまで来れば大丈夫だ。ちなみにジャカルタまでの飛行時間は約7時間。ジャカルタからバリ島までが約1時間半というところでございまして、デンパサール空港到着は現地時間(バリ島の時差は日本時間マイナス1時間)で夜の8時過ぎでございました。ああ、無事着いた。良かったぁぁぁぁ〜…。

 こでさっそく現われる現地係員。なんと我々専用の車でホテルまで送ってくれるのでございます。うーん、個人旅行だとまず空港からホテルまで自分でTAXIなどを使わなければならないのですが、この辺はツアー旅行のラクチンさでございますね。空港から山あいの村ウブドにあるホテルまでは車で約1時間。日本語の上手な現地係員にあれこれとバリのレクチャーを受けている間に、車は目指すチョ〜高級リゾートホテルに到着したのでございます。

 こからがスゴかった。貧乏人の悲しいサガで車を降りるとつい自分の荷物を持とうとしてしまうワタクシを制して、従僕が荷物を持ってくれる…ま、そこはチョ〜高級ホテル、このくらいでは驚かんぞ。次に我々専属のアシスタントがホテル内施設を案内してくれます。まず宿泊客専用ライブラリーに(げッ?そんなモンがあるの?)。次に夜間照明に浮かび上がるプールへ(うわッ!キレイ過ぎる!しかもプールの向こうじゃガムラン音楽の生演奏付き!)。部屋は全室独立コテージタイプ。夜道を歩いてしばらく行ったところでようやく我々の泊まる18号室に到着(ひええ〜ッ!部屋に来るまでの道、もう忘れちまったぞぉ!)。

 ェックインの手続きは部屋で行うのですが、そのついでに客室内設備の説明がひとしきり。まぁチョ〜高級リゾートで部屋が立派なのは予想していたこととは申せ、圧倒されるばかりの素晴らしさ。ダダッ広い部屋にはウエルカムフルーツが山盛りになったテーブルセット。洗面台などの設備は全て2面ずつあって二人同時に身支度できるという贅沢さ。そして風呂に至っては露天バス!う、うう…何せトイレ・シャワー共同といった安宿に慣れてしまったこのカラダ。果たして順応できるのでしょうか?

夜のプール。右手の建物がガムラン演奏場所。

 員が出て行って、我々が部屋の素晴らしさに圧倒されてあちこち探検していると、そこにコンコンと棒をたたく音(このホテルではドアの前にブラ下がった棒をたたいて来訪を告げるんだとか)。誰かと思って外を見ると…ええっ?氷のミッチリ詰まったクーラーにシャンパンをブッ刺した従僕が!こっこんなものを注文した覚えは…え?…こ、これがウェルカムドリンク?このモエ・シャンドンのシャンパン1本がぁ?マジ?!!

 やはや、さすがは名だたるチョ〜高級リゾート。下にも置かぬホスピタリティでございます。このホテルはバリ島のガイドブックなどにも必ず載っている有名ホテルで、「ゲストひとりにスタッフ6人」とも言われるサービス体制がひとつの売り。とにかく従業員の接客サービスは驚くばかりの徹底ぶりでございまして、我々はこのホテルの従業員たちをひそかに「ジュウボクズ(従僕ズ)」と命名したのでございますが、ジュウボクズと貧乏性夫婦の華麗なる戦いについてはまた章を改めまして…。

   

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