スペイントホホ紀行 その8.

いわんやのトホホスペイン語講座・「点数を尋ねる」

 さん、こんにちは!いわんやのトホホスペイン語講座の時間がやってまいりました。今日勉強致しますのは、スペイン人に向かってサッカーの試合の得点状況を尋ねたい時の質問の仕方。つまり、「何対何でどちらが勝っているのですか?」という意味のことを、サルでも言えるようなもっと簡単な言い方で質問する方法というわけでございます。それでは、今日も御一緒に勉強してまいりましょう。

 10月13日水曜日朝6時、我々は夜行バスでマドリッドに戻ってまいりました。前夜のイチゴ水が効いたのか、二人ともけっこうグッスリ眠り体調は上々。例によってセビリヤからの電話ではホテルが取れず、宿が決まっていない状態だったのでございますが、朝の8時頃にダメモトで電話した宿から大丈夫との返事をもらい、スペイン最後の3泊の宿も決まりました。さっそくチェックインした我々は、久しぶりに風呂の付いた宿でゆっくりシャワーを浴び、午後はプラド美術館、夜は国立サルスエラ劇場と充実した観光ぶり。スペイン旅行も終盤に来てようやくツキが回って来たようでございます。

 て、スペインで最高の人気スポーツと言えば申すまでもなくサッカー。例の安宿に滞在していたセビリヤでも、日曜日にたまたまスペイン代表対イスラエル代表という試合がございまして、フロント(とはとても言えない単なるボロ部屋でしたが)のニイちゃんに宿泊費を払おうとした時に、彼は熱心にサッカー中継を観ておったものでございました。

 ういう時、たとえヨソの国のこととはいえ、どっちが勝っているのか気になるのが人情。「どちらが勝っているのですか?」なんて超高等スペイン語はとても喋れませんが、やはり得点状況くらいは知りたですね?さぁ、そこで今日勉強する質問の仕方です。まず両手でOKマークを2つ作って「セロ・セロ?(ぜろぜろ?)」、次に両手の人差し指をたてて「ウノ・ウノ?(いちいち?)」と聞いてみましょう。ほら、そのニイちゃんはこちらの質問意図を瞬時に、しかも完全に理解して「トレス・セロ(さんぜろ)」と片方の指を3本立てて教えてくれるではございませんか。

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 いでに、3点取ったのはどっちなのかも知りたいですから、「トレス…エスパーニャ?(さん…スペイン?)」と聞けばうんうんと満足そうにニイちゃんうなずきます。さぁ皆さん、これでスペインが3対0でイスラエルに勝っていることがもう分かってしまいましたね。ぜろ、いち、に、さん(セロ、ウノ、ドス、トレス)くらい覚えておけば、サッカーに関しての質問は何の心配もいらないことをセビリヤの安宿ニイちゃんは身をもってワタクシに教えてくれたわけでございます。

 て、マドリッドでの13日の夜、国立サルスエラ劇場からの帰り道、晩メシを食いに入った食堂の奥のテーブル席で食事をしていると、入口に面した部屋からTVの音らしい歓声が聞こえてきます。もしかしてサッカー?でも確かサッカーって土日に試合があるはずだから水曜日の今日やってるはずがないし、スポーツ映画でもやってんじゃない?などと考えて、メシを食い終わったあと、TVのある部屋に来てみると…うわーっみんなが俺達を見てる。いや、正確には俺達の上方のTVを見ているぞ。

 り返って上を見ると、おや、サッカーやってるじゃん。どことどこ?さっぱりわかりません。しかし、この店内の熱中ぶりからすると、もしかして地元マドリッドのチームかも。そこで食事代を払う時に店のオッサンに当てずっぽで「レアルマドリッド?」と聞いてみました。すると真剣な顔でうなずくじゃありませんか。ほほう、地元チームならこの熱中ぶりも当然。でも相手はどこなんだろ?

 ッサン、そんなワタクシの表情から察したのか、相手チームも教えてくれました。「バルセロナ!」おおっレアル対バルサ!スペインのサッカーのことなんてよく知らないワタクシですが、この2チームがまさに宿敵同志であること、巨人×阪神なんてメじゃない黄金カードであることはガイドブックで読んで知っておりました。こりゃ面白い。そこでさっそくワタクシがセビリヤ仕込み、サルでも言えるスペイン語で「セロ・セロ?ウノ・ウノ?(ぜろぜろ?いちいち?)」と聞いてみると、ちゃぁんと「セロ・セロ!」と答えてくれます。みなさん、これでもうこの言葉の使い方は完全にマスターしましたね?

 ばらくその店で試合を見ていたのですが、レアルのシュートが惜しくもバーに当たってはねかえった時などは、店内は「ウグ!」「アウッ!」という異様な歓声?に包まれて実におかしい。大体スペインのバル(入口にカウンターのある立飲み食堂。大抵奥にテーブル席がある)には必ずTVが置いてあるのですが、今ごろマドリッドとバルセロナ中のバルではここと似たような光景が繰り広げられているのでございましょう。

 々がバルを出て宿への帰り道。途中にあった売店で缶ジュースを1本買おうとすると、ここでも店員のニイちゃんはさっきの続きのサッカーを聞いています。スペイン語でサッカーの得点状況を聞くなら今やワタクシは熟練の達人。必殺の質問「セロ・セロ?」を発すると今度は「ノー!ウノ・ウノ!」あらら、その後1点ずつ入れたんだ。こりゃー興奮するわな。なみに、翌日買ったスペインのスポーツ新聞によると、この夜のレアルマドリッド対バルセロナFCは結局2対2の引き分け。いわんやのトホホスペイン語講座流に言えば「ドス・ドス(にーにー)」という結果でございました。すごく覚えやすいでしょう?ドスドス…

 常、スペインのサッカーリーグの試合は週末なのですが、日本で言えばナビスコカップのようなカップ戦が水曜日などに行なわれることがあることを、ワタクシは後で知ったのでございます。さすがサッカーの盛んなスペイン。皆様がもし今後スペインに行かれる機会があり、そこでサッカーの試合があったら、スペイン語が喋れなくてももう大丈夫ですね。今日この講座で勉強した質問の仕方で、たちまち地元のサッカーファンとも仲良しです。さぁそれでは皆さん、もう一度ご一緒に、「せろせろ?うのうの?

 は、いわんやのトホホスペイン語講座、また来週まで、ごきげんよう、さようなら。(→旅行記その9に続く)

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