ワールドカップ観戦記その1. 6/9 メキシコ×エクアドル戦

 行バスに揺られてやって参りました仙台。仙台駅到着が朝6時。試合開始は午後3時半。とりあえずこの9時間半、どうやってヒマをつぶすかが問題でございましたが、結局我々がとった行動は ファミレスで朝飯(どんなにゆっくり食ってもまだ7時半)→公園を捜し、ゴロ寝(風が強くて昼寝どころではない。結局9時にあきらめる)→駅に戻って中南米サポーターの騒ぎを見物(まだ10時前)→駅ビルのベンチでうずくまって寝るが眠れっこない(まだ11時)→昼飯(まだ11時半)→ええい、行っちまえ!ということで、結局お昼前には仙台駅を後にし、宮城スタジアムに向かったのでございます。

 の日の仙台は風が強かったのですが天気は快晴。仙台から東北線に乗って犬小屋のように(やや大ゲサ)小さい「利府」という駅で降り、そこからシャトルバスに乗って仙台スタジアムに向かったのでございました。それに致しましても、すでに仙台駅前と言わず東北線の中と言わず、とにかく文字どおり「石を投げれば…」という感じでメキシコ人とエクアドル人がそこらじゅうで目につきます。この日ばかりは杜の都・仙台も中南米野郎たちに占領されたという感じで、早くもワールドカップ気分が盛り上がってまいりました。

 タジアムに到着してみると…うおお、緑のジャージを着てソンブレロをかぶったメキシコサポーター、黄色いジャージを着て気勢をあげるエクアドルサポーターの密度はますます高い。ソコココで応援歌を歌ったりシュプレヒコールで盛り上がったり…いやー、これは楽しいぞ。さっそく我々も両国サポーターたちと記念写真を撮り、2度のスペイン旅行で覚えた僅かばかりのスペイン語で友好親善活動に励んでしまいました。メキシコ・エクアドルともにスペイン語で話の通じる中南米の仲間ということもあって、両国サポーター同士もお互いに実に友好的。ケンカやフーリガンなどとは無縁の楽しいお祭りムード全開でございます。

メキシコサポーターと一緒にハジケるトホ妻

 て、今回のチケットは「せっかくのワールドカップ。日本の試合なんかより今後絶対に見るチャンスのないような外国同士の試合が見たい」という願望に基づいて入手出来たもので、メキシコ・エクアドルどちらかにコトサラ肩入れしていたわけではございません。が、いざ席に着いてみると、なんと2列前に「2階席担当エクアドル応援団」みたいな連中が座っているではございませんか。回りの日本人観客に手拍子をとらせて自分の国のチームを応援してもらおうと頑張っております。ううむ、そう来られるとこちらの義理と人情もウズく。こうなりゃオレもひと肌脱いでエクアドル野郎どもを応援してくれようじゃねぇか、というわけで、さっそく我々はエクアドル応援団入団儀式?を執り行い、「なんちゃってエクアドルサポーター」となって試合に臨んだわけでございます。

こんなオッサンが目の前にいれば応援してやりたくなりますがな

というわけで、エクアドル応援団入団儀式

 合はエキサイティングな展開でございました。素人目にも初出場エクアドルよりメキシコの方がテクニックでは上回っているのがわかるのですが、何の間違いかエクアドルの方が前半開始早々に1点を先制したから大変。地力でやや勝るメキシコが「あ、このやろテメエ」という感じで同点に追い付いたかと思うと後半にはついに逆転。健闘ここまでかと思われたエクアドルも終了間際には必死の反撃を見せて、もう応援団も大騒ぎでございます。ワタクシも歓声はあげるわ悲鳴はあげるわ、エクアドルの惜しいシュートには頭を抱えるわとすっかりラテンのノリでワールドカップ観戦を堪能させて頂きました。

負けてちょっとガッカリのエクアドル子供サポーター。南米のガキはかわいい!

 台駅に戻って来たのは7時半頃でございましたでしょうか。さすがに腹も減ったので仙台名物牛タンを食っていると、どうも店の様子がおかしい。さっきまで満席に近かったのに次々と客が帰っていき、しまいにはガラガラ状態。店員たちも何やら必死に後片付けに励んでいます。どうやら客も店員も8時半からの「日本×ロシア戦」を見たいようでございます。メシを食い終わって駅前に戻って来た頃はすでに試合が始まっておりましたから日本人はほとんど歩いておらず、駅前はソンブレロをかぶったメキシコ人だけがウヨウヨしているという実に異様な光景。道を歩いていて周り中からスペイン語が聞こえてくると、思わず「ココは一体ドコなんだ?!」と言いたくなってしまいます。

 かしこの夜の仙台駅前は本当に楽しかった。試合に勝ったメキシコサポーターが上機嫌でそこらじゅうで騒いでいると、やがてロシアに勝って浮かれ気分の日本サポーター達も街に現われ、ヨロコビの国際交流が始まります。こちらは「相手がメキシコ人である」という理由だけで祝福の声をかけ、向こうは「ソコに日本人がいる」という理由だけで祝福の握手を求めるという、一種クレイジーな精神状態があたりを支配しております。この頃、負けたロシアでは暴動が起きていたことを思えば、仙台駅前のこのクレイジーな状況は幸いなことにお互いが勝ったからこそ発生したものと申せましょうが、これぞまさにワールドカップならでは。いやー楽しい夜でございました。

 台発の夜行バスに乗り込んだのが夜中の0時15分。東京到着が月曜朝の6時頃。往路のバスでの寝不足がタタッて真っ赤な目・ボーッとした頭のワタクシでございましたが、この日はそのままフラフラと誰もいない早朝の会社に行って着替え、夕方まで一応形だけ仕事をしたわけでございます。しかもこの日はなぜか夜は井上陽水のコンサートに行くという狂気のスケジュール。これで明日は静岡まで「ドイツ×カメルーン戦」を観に行くなんて…どこまでアホな夫婦なのでございましょうか。

   

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